東京落語は「大工調べ」という演題で、頻繁に寄席や落語会で上演されていますが、上方落語で演じられることは滅多にありません。言葉の取り違いで揉め事になる、見本のようなネタと言えましょう。

何とも言えない大層なネタで、東京落語には移植されていません。聞き終わった後で、「あァ、騙された！」と思うか、「これぞ、落語の中の落語！」と思うかは、皆様方の好みと感性の違いによると・・・

世間では、知らない間に犯罪に巻き込まれている場合もあります。それは昔も今も変わらないようで、前世からの因縁と諦めなければならないのかも知れません。

幇間（たいこもち）が主人公になる落語も数多くありますが、何方かと言うと、災難に遭うネタの方が多いかも知れません。

東京落語では「お神酒徳利」という演題で演じられ、六代目三遊亭圓生が昭和天皇の御前で口演しました。

滑稽な医者の落語は、数多くあります。実際であれば、笑っていられないような内容ですが、落語の世界では許されてしまうのが不思議であり、 落語の値打ちと言えましょう。

秋になると聞きたい落語の一つですが、意外に演者は少なく、寄席や落語会で上演されることは稀です。面白い内容だと思いますし、季節感もタップリだけに、もっと演者が増えてもいいと思うのですが・・・

熨斗は「のし」と読み、お祝いを持って行く時に使う袋に付いている物と言えば、おわかりでしょう。

江戸の商いの基盤を築いたのは、伊勢や松坂の商人でした。殊に三井の繁盛は大したもので、大坂の鴻池と並ぶ豪商の三井家は、講談や落語のネタになる逸話が数多くあります。

「仮名手本忠臣蔵三段目」を題材にした芝居噺で、ハメモノ（※お囃子入り）も凝っていて、噺家と下座が声を掛け合う場面もあります。こんな質屋へ品物を預けた者は、気の毒ですが・・・

ギャグが多く、わかり易い内容の芝居噺なので、歌舞伎や文楽に詳しくなく、邦楽の素養の無い者も演じたりしますが、表現の稚拙さが如実に出るネタと言えます。

将に「落語の中の怪異談」であり、昔なら、このようなことがあったかも知れないと思えるようなネタです。「いろや花嫁」「脛齧り」という別題もあり、東京落語に移植され、「団子坂奇談」の演題で上演するようになりました。

子どもが活躍する落語も数多くありますが、その中でもナンバーワンの腕白な子どもが登場。見ていて楽しい落語だけに、人気の高いネタです。

将に、落語の中の落語と言えましょう。このネタを映画・芝居で表現しても、少しも面白くない。年末の市井の風情や、夫婦の情が濃厚に表現されている逸品で、噺家の腕前が如実にわかるネタと言えます。

世の中、全く予想のつかない展開が起こることも多々あります。しかし、悪いことばかりではなく、良い方へ転がる場合も多いとも言え、 「佐野山」という落語は、その好例を表していると言える。

知らないことを「知らない」と言える人は、知っていることは自信を持って教えてくれると言えましょう。世の中、知ったかぶりの発言で、本質が変形してしまうことも多いようです。

上方落語の特色のハメモノ（※お囃子入り）が頻繁に使われている、賑やかで、楽しいネタです。座敷唄・義太夫・日本舞踊などで彩られた逸品だけに、邦楽好きの方には最適の落語と言えましょう。

歌舞伎や文楽の名作「義経千本桜」を採り入れたパロディ落語で、かなり昔から人気演目の一つでした。滑稽味満載の内容に、恐ろしさがスパイスとして、ピリリと緊張を加えています。

歌舞伎をパロディにしたネタを「芝居噺」と呼んでいますが、上方芝居噺の中で代表的なネタと言えば、「蛸芝居」に間違い無いでしょう。コント仕立てで進み、ＳＦになるという、摩訶不思議な落語です。

世の中には、驚くべき出会いがあります。劇的な出会いも、縁の絆があればこそ。この落語を聞くと、「人間、生きていれば、良いこともある」と思っていただけるのではないでしょうか。

気を付けて演じないと、後味の悪いネタに仕上がる場合があります。金持ちの座敷遊びを、爽やかに演じることが大切でしょう。おおらかに、無邪気に演じる方が良いのかも知れません。

借金をしても、耳を揃えて返せばいいのですが、借りる前から踏み倒そうと考えている輩もあるだけに、世の中は油断が出来ません。いつの時代も、お金を巡る攻防戦があるようで・・・。

この落語ほど、奇想天外なネタは無いでしょう。ＳＦ・ミステリー・サスペンスを加えて、時代物で纏めた大作。一体、誰が考えたのか？本当の作者に会って、メイキングの話を聞きたいものです。

「天狗山」という別題を付け、東京落語に直された速記はありますが、定着はしなかったようです。上方落語特有の阿呆らしさが濃厚だけに、当時の東京の噺家が諦めたのかも知れません。

このネタの原話は、中国笑話本『笑府』に載っています。江戸時代から演じられていたと思いますが、明治時代になってから、頻繁に高座に掛けられるようになりました。