小学館の名作文芸朗読

【小学館の名作文芸朗読】

ある春の夕方、南蛮寺の庭を歩いていたオルガンティノは、言いようのない不安に襲われる。そしてデウスへの祈祷の最中に失心し、岩屋の戸らしい一枚岩や、桶の上で踊り狂う女などの幻を見る。翌日も寺の庭を歩いていると、頸に玉を巻いた老人が現れ、天主教を広めに来ることは悪い事ではないが、デウスも最後には負けると告げる。

【小学館の名作文芸朗読】新聞記者の僕は「親戚総代」として、市ヶ谷の刑務所に収監されている従兄の面会に行く。

【小学館の名作文芸朗読】

横浜で日華洋行という貿易会社を営む陳彩の元に、今日もまた同じ内容の手紙が届く。それは貞操を守らない妻の房子との離婚を勧めるものだった。一方、鎌倉の家では、房子は誰かに監視されている不安に駆られていた。夫は今夜も帰って来ない。寝室の窓から外を眺めていると、何か眼に見えない物が部屋に潜んでいるような、不思議な感覚に襲われる。神経が疲れているせいかもしれない。

【小学館の名作文芸朗読】神に仕えるファウストにとって、林檎は「智慧の果」であった。ある時、彼は林檎を見て大伽藍の油画を思い出すと、林檎は「智慧の果」だけでなく、近代の「静物」に変わり出す。

【小学館の名作文芸朗読】芥川龍之介おススメセット！

【小学館の名作文芸朗読】上海のある屋敷に住むインド人の老婆の占いは、アグニという神がお告げをするため、五十年来、外れたことはない。

ある曇った冬の夕暮れ。「私」は疲労と倦怠がどんよりと影を落とす中、二等客車の隅に座っていた。

【小学館の名作文芸朗読】芥川が田端で過ごしていた頃の、八月下旬の数日間の出来事を綴った日記。創作意欲の湧かない日の過ごし方、友人と骨相学の話で盛り上がり、自らの顔を「直覚力も推理力も甚だ円満に発達している」と評されては有頂天になる様子、別の友人とは楽器の音色をめぐって子供のように言い争う姿など、文人の日常が記録されている。

【小学館の名作文芸朗読】ある清水寺参りの女性の数奇な運命を描く。貧しい母娘の暮らしを立て直すため、娘は清水寺で祈願するが、その夜に不思議な夢を見る。

【小学館の名作文芸朗読】十七歳の令嬢・明子は、父と共に鹿鳴館の舞踏会へ向かう。初めての正式な舞踏会に、彼女は不安と期待で胸を膨らませていた。会場の階段で、すれ違う支那の大官や日本の青年が、薔薇色の舞踏服をまとった彼女の美しさに驚きの視線を投げる。舞踏室の入口で主催者の伯爵夫妻に紹介された後、明子は同年代の令嬢たちの輪に加わる。

【小学館の名作文芸朗読】大正期に活躍した文豪、芥川龍之介の紀行文「中国游記」シリーズの一つ（未完）。

【小学館の名作文芸朗読】芥川龍之介の、少年時代を振り返る短編小説。1916年に発表。中学4年生の修学旅行の日、上野駅で同級生の能勢と出会った。待合室で他の生徒と共に通行人を揶揄する中、奇妙な格好の男性が現れる。能勢はその男性を「ロンドン乞食」と呼び、皆で笑った。

【小学館の名作文芸朗読】

ある秋の夜、王石谷(おうせきこく)は軍※(「りっしんべん＋軍」)南田(うんなんでん)と茶を飲みながら、黄大癡(こうたいち)の「秋山図」について語り始める。元宰(げんさい)先生から秋山図の存在を聞いた煙客(えんかく)翁は、潤州(じゅんしゅう)の張(ちょう)氏の家を訪れ、その神秘的な絵を目にする。

【小学館の名作文芸朗読】「僕」はふと昔の友人を思い出した。「彼」とはとても仲が良く、家で遊んだり、一緒に出かけたりしていた。

【小学館の名作文芸朗読】語り手と舞台監督のT君は、帝劇でロシアのオペラ『カルメン』を観に行くが、主役のイイナ・ブルスカアヤは出演せず、別の貧相な女優が代役だった。

【小学館の名作文芸朗読】文芸評論家である高山樗牛(ちょぎゅう)の作品や思想に対する、芥川自身の印象の変化を語ったエッセイ。

【小学館の名作文芸朗読】お鶴という老女が語る子供の頃の話。私の家は諸大名の御用金を用立てる商家だったが、徳川家の瓦解後に没落。家財を売り尽くし、いよいよ私の雛人形も手放すことになる。

【小学館の名作文芸朗読】「僕」が社の用でYという店に行くと、かつて僕らがよく飲みに行ったUの女中、お徳が芸者をしていた。

【小学館の名作文芸朗読】白という名の犬は、ある日、友達である黒犬が犬殺しの罠にかかりそうになるのを目撃するが、恐怖に襲われ助けることができなかった。

【小学館の名作文芸朗読】病気で工場を追われた若者は、ある町で汚れた風貌の少年をみかける。少年は口笛を吹いて鳥を呼び寄せる特技を披露し、それをもとに宿代を得ようとするも、町の人々は嘲笑したり気味悪がるだけで少年を追い払ってしまう。後日、若者は少年が五、六人の男に殴りつけられているのを見る。