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以前、六代目笑福亭松鶴が、時折、上演していました。単純な内容ですが、上演するのは難しいネタの一つでしょう。近年、高座に掛かる落語は少ないのは、その美しさを表現するのが難しいからでしょう。

この落語ほど、奇想天外なネタは無いでしょう。ＳＦ・ミステリー・サスペンスを加えて、時代物で纏めた大作。

極めて珍しい落語で、普通の落語会や寄席で耳にすることは皆無ですが、捨て難い面白さがあり、弘法大師が開いた真言宗の総本山・高野山が舞台になっているだけに、今後も丁寧に演じて行きたいと思っています。

短編で、洒落た内容の落語です。東京落語の速記が残っている程度で、上方落語では復活ネタと言えましょう。

昔の速記本に残っていた長編落語で、内容が複雑だけに、上下に分ける方がいいかも知れません。

東京落語の『厳流島（※岸柳島とも言う）』は、このネタと同じ構成になっています。

小泉八雲が著した名作に、先代（三代目）桂文我が落語用に工夫を加え、時折、高座に掛けていました。当時の人情が滲み出て、噛みしめるほど味が出る作品に仕上がっていると思います。夏場には、ピッタリの落語と言えましょう。

数多くある落語の中で、恐らく、一番喧しいネタでしょう。ハメモノ（お囃子入り）の効果が抜群のネタだけに、舞台の袖で演奏している三味線・太鼓・笛などの腕の良さによって、仕上がりに違いの出る落語です。

別名『提灯屋相撲』と言い、提灯屋が主人公になっていますが、落語で提灯屋が登場するのは極めて少ないのです。当時、生活に密着していた提灯屋ですが、落語で採り上げることは稀でした。但し、そのものズバリ、『提灯屋』という演題のネタはあります。

大阪平野の大念仏寺に伝わる「幽霊の片袖」を題材に取り、『仮名手本忠臣蔵六段目』の浄瑠璃を加え、重みのあるネタに仕上がっています。ジックリ演じるには最適なネタですが、浄瑠璃の稽古が出来ていなければ、とても形にならない落語と言えましょう。

約三百五十年前、江戸で活躍した東京落語家のパイオニア・鹿野武左衛門が創作したネタで、現在では演じる者が少ない珍品です。しかし、後世に伝える値打ちは十分あると思いますし、伝えて行かなければいけないでしょう。

歌舞伎や文楽でお馴染みの『夏祭浪花鑑／長町裏』、俗に言う『泥場』のパロディの落語です。親旦那に忠義な番頭の、若旦那や店への過剰過ぎる思い入れで起こる騒動。現代人には推し量りにくい料簡かも知れませんが、この心は大切だと思います。

上方落語界の名人・二代目桂三木助から、東京落語界の八代目林家正蔵に伝わり、「あなたに返しておきます」という言葉を添えて、先代（三代目）桂文我に移されましたが、高座では演じた記録が無いようです。

西行法師の歌行脚を描いたネタですが、元来は講談です。本当に、このようなことがあったかどうか？しかし、実に良く出来た話で、初めて聴くと、「なるほど！」と感心すること間違い無し！

別名『茶瓶ねずり』と言い、東京落語では『やかんなめ』という演題になっています。小品でありながら、人間の滑稽な困りの極限を描いている逸品。このネタのような状況になった場合、あなたはどうしますか？

昔と今では色街の様子が全く違い、昔は地獄のような店も多く、店の者の応対から衛生面に至るまで、最低という店がありました。但し、「住めば都」という言葉通り、地獄のような店でも、心の持ちようで、十分楽しめたそうです。

秋のネタの一つに数えられていますが、どの辺りに秋を感じられるか、気が付けて、お付き合い下さいませ。晩秋の怪異談と思いながら聞いていただければ、より一層、ネタの味わいが深まるかも知れません。

蛇が登場する落語も数多くありますが、民話の匂いを一番感じるのが、このネタです。阿波の徳島が舞台になっており、阿波狸の物語が浸透している土地柄に相応しいネタと言えましょう。不気味な雰囲気の中にに、ホッコリする温かさを感じませんか？

滑稽な内容でありながら、ホッコリした気分になる人情噺のような構成にもなっています。コント仕立てのように見えて、実は見事なドラマ。近年、上演される機会が少なくなったのは残念です。

この落語の主人公は、本当に気の毒です。しかし、令和の今日でも、こんな目に遭う者が居るかも知れません。上方落語の特色でもあるハメモノ（※お囃子入り）の効果が抜群だけに、それも楽しんで下さいませ。