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講釈を落語化し、寄席や落語会で上演される機会が増えたのが、この『さじ加減』。東京落語の林家正雀から桂文我に譲られ、上方落語に変化させました。善人・悪人が絡み合い、奉行の情けを含めたユニークなネタと言えましょう。

「鶴の恩返し」などのように、生き物が人間に恩返しをすることは、日本昔話に数多くあります。昔は、そのようなことがあったかも知れません。大切に飼っているペットも、恩返しをしてくれるでしょうか？

東京落語は「大工調べ」という演題で、頻繁に寄席や落語会で上演されていますが、上方落語で演じられることは滅多にありません。言葉の取り違いで揉め事になる、見本のようなネタと言えましょう。

色事の揉め事を題材にした落語も多く、『持参金』『お文さん』など、複雑な内容のネタもありますが、昔の速記本で残っている珍品の『親子の嫁入』

この落語のようなことが本当に出来れば、苦労は要らないでしょう。

大抵、怪談噺は夏が舞台になりますが、このネタは珍しく、真冬の雪のシーンがメインになります。講談や東京落語では『雪の戸田川』という演題になり、上方落語では桂米朝の師匠・四代目桂米團治が『怪談市川堤』に焼き直しました。

言葉遊びで展開する落語も数多くあり、以前は『八問答』も頻繁に上演されていましたが、昨今、高座に掛けられるのは稀になりました。初代桂春團治がレコードに吹き込んでいますが、如何にも楽しそうに演じています。

東京落語で仕上がった名作で、『妾馬』という題でも演じられています。笑いの内に、兄妹の情愛がタップリ含まれていますから、泣き笑いの一席。名人・六代目三遊亭圓生の十八番ネタでした。

借金をしても、耳を揃えて返せばいいのですが、借りる前から「踏み倒そう！」と考えている輩もあるだけに、世の中は油断が出来ません。いつの時代も、お金を巡る攻防戦があるようで・・・・・。

因果応報が土台になっている、極めて仏教的なネタです。この落語を聴いて、「気持ち悪い！」と思われる方も多いようですが、じっくり吟味すると、人情味豊かなネタなのです。長年、語り継がれてきた要因も、その辺りにあるのではないでしょうか。

幕末から明治初期までの上方落語界の大家・初代桂文枝が長編の大作に仕上げて大好評を博しましたが、借金の質草に取られ、どうしても聴きたい贔屓筋が請け出したという、曰く因縁付きのネタなのです。

日本昔話か、仏教説話が土台になっていると思われます。人間から「不思議な物を見てみたい」という感情が無くならない内は、このネタは語り継がれるでしょう。オチが見事に決まる逸品です。

桂米朝が復活させ、現在では数多くの噺家が上演するネタとなりました。上方落語特有のバカバカしさが満載のナンセンス落語ですが、物語の不自然さを感じさせず、独自の世界を構築するのは、極めて難しいネタと言えましょう。

オチを聴いた後、「いい加減にしろ！」と怒りたくなるような、ナンセンスなものもあるのですが、考えてみれば、そのオチは良く出来ていることに気付く場合が多いと言えましょう。

上方落語で「古典落語の大作」と言えば、『立ち切れ線香』『菊江仏壇』『土橋萬歳』と並び、『百年目』が挙げられるでしょう。船場の商家の雰囲気を如実に描く上、季節感タップリで、「どこを取っても一級品」と言っても過言ではありません。

「王城の地」と呼ばれる京都は、余所の町から羨ましがられたり、妬まれたりしたようで、その証拠が『京の茶漬』という落語のような気がします。何とも皮肉な内容ですが、嫌味無く演じるのは難しく、先代（三代目）桂文我の十八番でした。

丁稚奉公制度は、決して、悪い制度ではなかったでしょう。大人に揉まれながら、商いのコツを身に付けるのですから、効率良く育って行くように思います。この落語は、丁稚が実家へ帰らせてもらえる「藪入り」の、ある家の一時を描きました。

日本昔話の「浦島太郎」に、歌舞伎のパロディを加え、落語ワンダーランドに仕立てた先人の智慧と工夫は恐るべきものです。上方落語の特色でもあるハメモノ（お囃子入り）の魅力も十分に発揮し、おおらかに演じるのが一番でしょう。

呉服屋染物屋が登場する落語は、意外に少ないのですが、極道息子に染物を絡ませ、小粋に仕上げたのが、このネタです。昔の風情も濃厚に含まれている、不思議な雰囲気の珍品と言えましょう

上方落語の「東の旅」、お伊勢参りのネタの一つで、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも、よく似た場面が出てきます。十返舎一九は、当時の噺家と親交があっただけに、アイデアの交換をしていた