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東京落語では、「干物箱」という演題で、寄席や落語会では上演頻度の高いネタです。以前は、昭和の名人と言われた八代目桂文楽の名演が光っていました。

打飼は、鉄砲の薬莢（やっきょう）入れで、ポーチのような使い方をしていたみたいです。東京落語に移植され、「夏泥」という演題になりました。最近、上演する噺家が増えたネタの一つと言えましょう。

このネタは、見る落語と言えるのではないでしょうか。ラジオやＣＤでは面白さが伝わりにくく、視覚に訴えるネタの代表。品良く演じなければ、嫌悪感が残る落語だけに、スッキリした構成演出が肝心と言えます。

明治初期から大正まで、長期間、大阪で人気の高かった、初代桂文我の速記が残っています。駕籠から、人力車に替わったのが、明治十年頃だっただけに、新しさが売りのネタだったのかも知れません。

浪曲を下敷きにし、講釈の演出も採り入れ、オチを付けた落語に仕立て直しました。忠臣蔵外伝として、ユニークな作品になったと思います。

「伽羅の下駄」という落語は二種類ありますが、今回のネタは、長編の方です。伽羅と言えば、香木の最高級品。伽羅で下駄を拵えると、一体、どれぐらいの値打ちがあるのでしょうか。

江戸の商いの基盤を築いたのは、伊勢松坂の商人でした。殊に、三井の繁盛は大したもの。大坂の鴻池と並ぶ、豪商の三井家には、講談や落語のネタになる逸話が数多く残っており、その中でも『三井の大黒』は…

昔は、このネタの主人公のような考えを持つ若旦那が存在したのかも知れません。令和の今日、同意しにくい所も多々ありますが、そのような複雑な心理状態が、ネタの味を深くしているようです。

奇想天外なＳＦ落語ですが、ホンワカとした人情も感じられます。演者の少ないネタですが、春の落語として、演題も綺麗だけに、もっと上演者が増えてもいいと思いますが、如何でしょうか？

幕末から明治中期まで、東京落語界の大立者として君臨した三遊亭圓朝が、イタリアオペラを焼き直したネタとも、グリム童話が原話とも言われています。

洒落た短編落語と言えば、このネタを思い出します。小噺に肉付けを施し、一席物に仕立て上げました。単純なストーリーながら、人と人との心の遣り取りが、如実に表現されている逸品だと思います。

日本絵画の絵師土佐光信が描いた「雁風呂」が様々な人を巻き込み、信じられない展開となりますが、「結果として、これでいいのではないか」と思えるのは、噺の気品がなせる業と言えるのではないでしょうか。

日本で一番古い文学書歴史書とも言える『古事記』の中から、八岐大蛇の部分を取り出し、落語仕立てにしたネタです。

このネタは、昭和の名人だった六代目三遊亭圓生師の独壇場で、何とも言えない不気味さを醸し出していました。元来、両国回向院にある、猫塚の由来の話になっています。

真田幸村の物語は、最近のテレビドラマになると軽くなり、講談や浪曲を聞く方が深く楽しめるように思います。つまり、昔の作家の方が優れていて、奇抜なことを考えないという結果でしょう。

将に、落語の中の落語と言えましょう。このネタを映画・芝居で表現しても、少しも面白くないと思います。年末の市井の風情や、夫婦の情が濃厚に表現されている逸品で、噺家の腕前が如実にわかるネタと言えましょう。

「天狗山」という別名を付け、東京落語に直された速記はありますが、定着はしなかったようです。上方落語特有の阿呆らしさに包まれているだけに、当時の東京の噺家が諦めたのかも知れません。

人間は苦し紛れに、物凄い智慧が湧くことがあります。

昔の速記本に載っていますが、頻繁に演じられた形跡はありません。当時でも、かなり珍しいネタだったのではないでしょうか。短編でありながら、茶の湯を題材にした、品の良い落語だと思います。

滑稽な内容でありながら、ホッコリした気分になる人情噺のような構成にもなっています。コント仕立てのように見えて、実は見事なドラマとして伝わってきました。近年、上演される機会が少なくなったのが残念です。