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世の中には治りにくい病気もあり、「心の病い」が代表と言えますが、それを題材にしている落語は意外に多くあり、『肝つぶし』の他、『崇徳院』『千両みかん』『宇治の柴船』などが、それに該ります。

明治の東京落語界の大立者・三遊亭圓朝の名作を上方落語に移すため、場所設定・演出に手を入れました。八代目林家正蔵の正本芝居噺の継承者・林家正雀から、当代桂文我に移植されたネタです。

幕末から明治初期までの上方落語界の大家・初代桂文枝が長編の大作に仕上げて大好評を博しましたが、借金の質草に取られ、どうしても聴きたい贔屓筋が請け出したという、曰く因縁付きのネタなのです。

約三百五十年前、江戸で活躍した東京の噺家のパイオニア・鹿野武左衛門が創作したネタで、現在では演じる者が少ない珍品です。しかし、後世に伝える値打ちは十分あると思います。

何とも言えない大層なネタで、東京落語には移植されていません。聞き終わった後で、「あァ、騙された！」と思うか、「これぞ、落語の中の落語！」と思うかは、皆様方の好みと感性の違いによると・・・

東京落語で成立した名作で、「妾馬」という演題でも演じられています。笑いの内に兄妹の情愛が濃厚に含まれていますから、将に泣き笑いの一席。

皿屋敷伝説は全国各地にありますが、主人公の名前は、お菊に決まっているようです。劇中劇・現実・パロディという構成になっている滑稽怪談は、名作落語と言っても間違い無いでしょう。

東京落語では「お神酒徳利」という演題で演じられ、六代目三遊亭圓生が昭和天皇の御前で口演しました。

大阪の商いの中心地・船場の古手（古着）屋で巻き起こる男女の艶物語なのですが、落語の演題は「口入屋」。それは聞いていただければ、直ぐにわかるでしょう。

借金をしても、耳を揃えて返せばいいのですが、借りる前から踏み倒そうと考えている輩もあるだけに、世の中は油断が出来ません。いつの時代も、お金を巡る攻防戦があるようで・・・。

二代目桂（文廼家）文之助の速記本に載っていますが、頻繁に上演されていたネタではありません。伸縮自在に出来る、便利なネタのように思いますが、実際に上演すると、骨が折れます。

東京落語では、五代目古今亭志ん生の十八番でした。上方落語では、四代目桂文紅が高座へ掛け、二代目桂枝雀へ伝わり、爆笑ネタとして、広く知られるようになったのです。

王城の地と言われる京都は、余所の町から羨ましがられたり、妬まれたりしたようで、その証拠が「京の茶漬」という落語だと思います。皮肉な内容ですが、嫌味無く演じるのは難しい。

粋な短編として、昔から寄席で上演されることの多い落語でした。旦那と丁稚の遣り取りを長くも短くも演じられるだけに、便利なネタと言えましょう。しかし、令和の今日、味噌豆を煮る

上方落語は旅のネタが多いのも特色の一つですが、昔からお伊勢参りの落語『東の旅』の一つに数えられていました。大抵は途中で切りますが、後半まで行くと、『浮かれの尼買い』というネタに繋がります。

明治初期から大正まで、長期間、大阪で人気の高かった、初代桂文我の速記が残っています。駕籠から、人力車に替わったのが、明治十年頃だっただけに、新しさが売りのネタだったのかも知れません。

「子ほめ」「時うどん」等と並んで、寄席や落語会で、上演頻度の高いネタです。夜店に行っても、野天の古道具屋を見ることは稀になっただけに、昔の風俗を知るには一番のネタと言えましょう。

上演内容。落語には、怪談噺というジャンルがあり、夏の風物詩にもなっています。横浜にぎわい座で開催した「桂文我独演会」で、上方落語の怪談を並べましたが、「髑髏の仇討」と「浅井了意の牡丹燈籠」は、レアなネタと言えましょう。

秋のネタの一つに数えられていますが、どの辺りに秋を感じられるか？晩秋の怪異談と思いながら聞いていただければ、より一層、ネタの味わいが深まるかも知れません。

この落語ほど、奇想天外なネタは無いでしょう。ＳＦ・ミステリー・サスペンスを加えて、時代物で纏めた大作。一体、誰が考えたのか？本当の作者に会って、メイキングの話を聞きたいものです。