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明治43年(1910年) 初出。歌人・石川啄木の第一歌集。『はたらけど　はたらけど猶（なほ）わが生活（くらし）楽にならざりぢっと手を見る』など啄木の代表作多数が収められている。※原文は「我を愛する歌」「煙」「秋風のこころよさに」「忘れがたき人人」「手套（てぶくろ）を脱ぐ時」の5章構成ですが、収録分数の都合上、「手套を脱ぐ時」は含まれておりません。

大正13年(1924年) 初出。地震とは何か？地震の予報は可能か否か？戦前の物理学者が唱えた地震論は2011年の東日本大震災を経験した現代人の視点から見ても決して古いものではなく、共感しうる点も多々あることに驚かされる。

藤原定家撰による、新古今期までの代表的な歌人百人について一人一首を選んで作られた私撰和歌集。

明治20年(1907年)初出。 師弟を教育する目的とは何か。日本においても諸外国においてもまずは職業を求めることであるが、それだけではない。 明治を代表する教育者・新渡戸稲造が国内外の教育現状を見つめながら語る5つの教育目的。

昭和17年(1942年)初出。 悟浄は心の病を患っていた。今まで当然として受け取ってきたすべてが不可解な疑わしいものに見えていた。苦しみに堪えがたくなった悟浄は、賢人たちに教えを乞う旅に出た―

『何の為にこいつも生れてきたのだらう？この娑婆苦の充ち満ちた世界へ。何の為に又こいつも己のやうなものを父にする運命を荷つたのだらう？』芥川龍之介、自殺直後に発見された遺稿のひとつ。芸術と文学に焦がれ暗鬱な視点で現世を見つめる全５１の断章は、芥川自身の一生を記したものといわれる。

昭和15年(1940年) 初出。グーロフは海岸通りに現れた新しい顔に興味を持った。ベレ帽をかぶり、いつも一人で白いスピッツ犬と散歩する女性。人々は彼女をこう呼んでいた。『犬を連れた奥さん』と―

昭和17年(1942年)初出。 アシュル・バニ・アパル大王より文字の霊について 研究を命じられた老博士ナブ・アヘ・エリバは、一つの文字を見つめていると不思議な事実を発見した―

1942年初出。隴西の李徴は、秀才と名高い役人の一人であった。だが彼には詩人として名を成したいという思いがあり、自ら官職を辞退する。強い自負心をもって詩作に向き合う彼を待ち受ける運命とは―唐の時代の怪奇小説『人虎伝』を素に書かれた中島敦の代表作品。同作者による『名人伝』も収録。

昭和46年(1971年) 初出。東亜生理学会で村木博士は人造胎児の実験中であることを発表し翌日の新聞を騒がせることとなった。しかし実験内容に関しては詳しく明かされず、博士は質問にも答えなかった。この奇妙な実験は、成功するのか―

昭和9年(1934年)初出「僕達、どこまでも一緒に行こうね」星祭りの夜、孤独な少年ジョバンニは、親友カムパネルラとともに果てない銀河へ旅に出た。幻想的かつ独特の世界観で生と死を綴った、著者の最高傑作とも言われる名作小説。

現在・過去・未来を舞台に10の不思議な夢の世界を綴る。「こんな夢を見た。」という書き出しが有名な、夏目漱石の作品。

人買いに騙され母と離れてしまった安寿と厨子王は、荘園領主・山椒大夫に売られ奴隷としてこき使われる。やがて二人は母が佐渡にいることを知り、厨子王はついに荘園からの脱走を計る…。

平安朝中期を舞台に、天皇の皇子として生まれながら臣籍降下して源氏姓となった光源氏の数多の恋愛遍歴を描く。『桐壺』は源氏物語五十四帖の巻名の第１帖。

昭和25年(1950年) 初出。『ポール・ゴオガンのやうに、船がタヒチへでも向かつて行つてゐるやうな、一種の堪へ難い待ち遠しさも、私は屋久島に感じ始めてゐるのだ。屋久島とはどんなところだらう……』未だ見ぬ島への期待を胸に行く、種子島経由・屋久島の旅を綴る。

昭和10年（1935年）初出。眼の病を抱えながらも山奥の家まで毎日、わずかな郵便物を配達してくれる生真面目な郵便配達手がいた。しかし大吹雪が来たあとより、彼は姿を見せなくなる―

昭和14年（1939年）初出。『ただ歴史の事柄を通しては、こういう風にたまには語り合うことはあった。それが二人の間に幾らか温かい親しみを感じさせた。』風俗探査のためにしばしば東海道へ旅に出る夫、時に誘われて同行する妻。夫婦で静岡や愛知を旅した日々を綴る。

昭和3年（1928年）初出。『桜の樹の下には屍体が埋まっている！これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。』 美しいものへの不安を語る短編小説。

昭和30年（1955年）初出。ジムという西洋人の友達は、舶来の上等な絵の具を持っていた。その中でも藍色と洋紅色はとても美しく、僕の持っている絵の具ではどうしても出せない色であった。 僕はその絵の具がほしくてたまらなくなり―

昭和61年（1986年）初出。裏通りにある古びた借家は、とある文士が安息の時を過ごす妾宅であった。ここで過ごす時間の描写を通じて、日本女性が持つ奥ゆかしさや独特な個性が描かれている。