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藤原定家撰による、新古今期までの代表的な歌人百人について一人一首を選んで作られた私撰和歌集。

昭和61年（1986年）初出。裏通りにある古びた借家は、とある文士が安息の時を過ごす妾宅であった。ここで過ごす時間の描写を通じて、日本女性が持つ奥ゆかしさや独特な個性が描かれている。

現在・過去・未来を舞台に10の不思議な夢の世界を綴る。「こんな夢を見た。」という書き出しが有名な、夏目漱石の作品。

昭和14年（1939年）初出。『ただ歴史の事柄を通しては、こういう風にたまには語り合うことはあった。それが二人の間に幾らか温かい親しみを感じさせた。』風俗探査のためにしばしば東海道へ旅に出る夫、時に誘われて同行する妻。夫婦で静岡や愛知を旅した日々を綴る。

『何の為にこいつも生れてきたのだらう？この娑婆苦の充ち満ちた世界へ。何の為に又こいつも己のやうなものを父にする運命を荷つたのだらう？』芥川龍之介、自殺直後に発見された遺稿のひとつ。芸術と文学に焦がれ暗鬱な視点で現世を見つめる全５１の断章は、芥川自身の一生を記したものといわれる。

謀反により流罪となった僧・俊寛。罪人達が赦免され船で都へ戻る中、ひとり島に残された俊寛が都への未練を棄て、島の自然の中で逞しく生きていく様を描く。

昭和51年（1976年）初出。やっともらった縁談の相手は同僚との付き合いを断れず見合いに遅れてやってくるようなお人よし過ぎる男だった。こんな人とは結婚するものかと思っていたが縁談はまとまってしまい―

大正13年(1924年) 初出。地震とは何か？地震の予報は可能か否か？戦前の物理学者が唱えた地震論は2011年の東日本大震災を経験した現代人の視点から見ても決して古いものではなく、共感しうる点も多々あることに驚かされる。

昭和30年（1955年）初出。ジムという西洋人の友達は、舶来の上等な絵の具を持っていた。その中でも藍色と洋紅色はとても美しく、僕の持っている絵の具ではどうしても出せない色であった。 僕はその絵の具がほしくてたまらなくなり―

昭和17年(1942年)初出。 悟浄は心の病を患っていた。今まで当然として受け取ってきたすべてが不可解な疑わしいものに見えていた。苦しみに堪えがたくなった悟浄は、賢人たちに教えを乞う旅に出た―

大正7年(1918年)「赤い鳥」創刊号掲載の短編小説。生前、様々な悪事を働いたカンダタ。幾多の罪人がもがき苦しむ地獄の世界に彼も居た。或る日カンダタの前に、一本の蜘蛛の糸が現れる。
それは、はるか天上の極楽へとつながる糸だった―同作家の人気作品『杜子春』も収録。

人買いに騙され母と離れてしまった安寿と厨子王は、荘園領主・山椒大夫に売られ奴隷としてこき使われる。やがて二人は母が佐渡にいることを知り、厨子王はついに荘園からの脱走を計る…。

"怒涛の４時間！　ＣＤ３枚組！！低賃金で酷使される蟹工船の労働者たちの闘いを描く、２００８年異例の４０万部増版でブームとなった超話題作。

"""1932年（作者の死の前年）の作品。日本のプロレタリア文学を代表する作品のひとつ。軍需工場に臨時工として入り込み、非合法活動に従事する共産党員たちの日々を描く。ＣＤ４枚組。

大正11年(1922年)雑誌社に勤める良平は、塵労に疲れると思い出す少年時代の記憶がある。工事現場のトロッコを眺めるのが好きだった良平は、ある日、土工に頼み、トロッコを押させてもらうことになった。８歳の少年を乗せたトロッコは、どんどん山奥へ進んでいった―

明治39年(1906年)初出 ―後の月という時分が来ると、どうも思わずには居られない。幼い訣とは思うが何分にも忘れることが出来ない。周囲の大人の心ない介入により引き裂かれてしまう、15歳の政夫と17歳の民子との、淡くはかない恋の物語。

明治20年(1907年)初出。 師弟を教育する目的とは何か。日本においても諸外国においてもまずは職業を求めることであるが、それだけではない。 明治を代表する教育者・新渡戸稲造が国内外の教育現状を見つめながら語る5つの教育目的。

昭和17年(1942年)初出。 アシュル・バニ・アパル大王より文字の霊について 研究を命じられた老博士ナブ・アヘ・エリバは、一つの文字を見つめていると不思議な事実を発見した―

1923（大正12）年1月初出。「ちびが永久に去った後に三毛はこの世界に何事も起こらなかったかのように縁側の柱の下にしゃがんで気持ちよさそうに目をしょぼしょぼさせていた。それが罪業の深いわれわれ人間には妙にさびしいものに見えるのであった。」物理学者として知られる著者のエッセイ『ねずみと猫』の後日談。飼い猫の初めての出産、子育て、別れ。

大正14年（1925年）同人誌「青空」掲載の短編小説。肺病を患い、憂鬱な日常を生きる青年のある一日。放浪中の街角で見かけたレモンが青年の心に鮮やかな幻想をもたらす。自らも肺結核で天逝した作者の繊細な感受性が光る珠玉の一編。同作者による「冬の蝿」も収録。