ep55-5 『ミドルエイジ・ビギンズ』後編/「人生あみだくじ理論」「中年のクライシスとどう付き合うか」
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どうも、ホシノです。
東畑開人さんの『ミドルエイジ・ビギンズ』を掘り下げる後編をお届けします!
今回は、本書に登場する豪華なゲスト陣の生々しい転機と葛藤にフォーカスしました。ライブ会場の規模を拡大したことで自らの「世間」の等身大のサイズを思い知り、音楽活動だけでなく小説の執筆へと手持ちのカードを広げていったクリープハイプの尾崎世界観さん。『源氏物語』の現代語訳という巨大な仕事に全精力を注ぎ込んだことで、かつて月28本も抱えていた連載生活と体力の変化に向き合うことになった作家の角田光代さん。そして、官僚時代の過酷な働き方から身を引き、自ら起業の道を選んだ元厚労省の千正康裕さん。
華やかに見える表現者やトップランナーたちも、40代前後の「正午」を迎える中で、自身の限界や変化を受け入れ、人生のスタンスを大きく転換させていました。
なかでも深く唸らされたのが、哲学者・鷲田清一さんの「人生あみだくじ理論」です。人はつい「初めに立てた目標に向かって一直線に進むこと」を人生の正解としがちですが、あみだくじのように、予期せぬ出会いや出来事によって横線が入り、思わぬ方向へ曲がっていくことこそが人生のリアル。当初の計画とは違う場所にたどり着いたとしても、その曲がりくねった軌跡と出会いそのものが、かけがえのない自分自身の物語になっていく——。鷲田さんの語る「若者はクロノロジー(年代記)、中年期はパースペクティブ(遠近感)、老年期はピクチャー(一枚の絵)として人生を眺めるようになる」という時間の捉え方の変化も、非常に味わい深いものがあります。
一方で、「ミドルエイジ・クライシス」という言葉自体に囚われすぎて、必要以上に悩みを深刻化させてしまう危うさについてもアワノさんと語り合いました。頭で考えすぎず、時にはあみだくじの流れに身を任せて前を向く、そんなしなやかな姿勢も持っていたいものですね。
他者の物語に触れることで、自分のこれまでの歩みとこれからの生き方を捉え直すきっかけをくれる一冊でした。
次回からはまた新たなシリーズが始まります。どうぞお楽しみに!