『ep55-4 『ミドルエイジ・ビギンズ』前編/「人生のカードは出揃った?」「相手の思考を掘り起こすインタビューの妙」』のカバーアート

ep55-4 『ミドルエイジ・ビギンズ』前編/「人生のカードは出揃った?」「相手の思考を掘り起こすインタビューの妙」

ep55-4 『ミドルエイジ・ビギンズ』前編/「人生のカードは出揃った?」「相手の思考を掘り起こすインタビューの妙」

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10月19日まで。※適用条件あり

どうも、ホシノです。

今回はホシノの選書、東畑開人さんの話題作『ミドルエイジ・ビギンズ』(角川書店)の前編をお届けします。

人生を80年とすると、40代前後はちょうど「人生の正午(昼)」。そこから社会的な役割を終える老年に向かうまでの長い移行期間を、東畑さんは「ミドルエイジ」と定義しています。

本書が生まれた背景には、東畑さん自身のミドルエイジ・クライシスがありました。『カウンセリングとは何か』という集大成となる大著を書き終えた後、ふと訪れた喪失感。「自分はこれから何ができるのだろう」とエネルギーの向かう先を見失っていたとき、ミュージシャンの尾崎世界観さん(クリープハイプ)との会話が大きな転機になります。

「人生の手札(カード)はもう出揃っている。新しく開発するカードはない中で、どう手持ちの札をやりくりしていくか」——。世間にも自分の持ち札が知られた状況で、諦めではなく前向きに人生をマネジメントしていく尾崎さんの姿勢に触れた東畑さんは、同世代の表現者たちへの取材を通じて「ミドルエイジの処方箋」を探る旅に出ます。

本書に登場するのは、尾崎世界観さん、作家の角田光代さん、経営者の千正康裕さん、そして哲学者の鷲田清一さんという豪華な4名。

東畑さんは、中年期を「青年に戻る」「親になる」「影を生きる」「停滞する」という4つの物語の類型で捉えようと試みますが、インタビューを重ねる中で見えてきたのは、決して一つの型には収まらない生々しい葛藤でした。

特に印象的なのが、角田光代さんとの対話です。かつて月28本もの連載を抱えていた売れっ子作家が、ある時期を境に連載をすべてやめ、「パソコン教室にExcelを習いに行った」というエピソード。一見突拍子もない行動の裏にある「締め切りに追われない=働いていないという強迫観念」や「いつまでも自分は中堅だと思っていたが、気づけば周りは若手ばかりになっていた」という焦燥感を、東畑さんがカウンセラーならではの深い掘り下げで鮮やかに浮き彫りにしていきます。

正解や処方箋を提示するのではなく、他者のリアルな告白を通じて「自分自身の物語」を見つめ直させてくれる本作。エリート層だけでなく地方や様々な環境で生きる中年像にも思いを馳せながら、じっくりと語り合いました。

次回は、鷲田清一さんが語る「人生のあみだくじ理論」など、さらに心に刺さる各論をご紹介します。お楽しみに!

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