ep55-3 『人文知は武器になる』後編/「ボトルの口はどこへ移る?」「具体の泥沼と抽象の問い」
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どうも、ホシノです。
今回はアワノさん選書『人文知は武器になる』の後半戦。前回取り上げた深井龍之介さんの視点に続き、今回はもう一人の著者・山口周さんのトークから、アワノさんが特に唸った2つの視点を掘り下げます。
組織の歯車に収まらない独自のキャリアを歩んできた山口周さんですが、その見立ての鋭さは圧巻です。
過剰供給が起きると、ボトルネックはその前後に移る
産業革命で紡績機が布を大量生産できるようになると、綿花の収穫や製品の輸送(鉄道)へとボトルネックが移り、そこに次のイノベーションが生まれました。現代で言えば、生成AIの登場によって「正解っぽい答えや情報の収集・分析」はすでに過剰供給。だとすれば、次に価値が移るのはその前後、つまり「そもそも何を問うべきかという課題設定」や「導き出された解をどう現実世界で実行するか」という領域です。流行りの技術そのものに飛びつくのではなく、その前後に生まれる希少性に目を向ける重要性を説きます。
具体の泥沼を這い回るな。「問い」の抽象度を上げよ
「若手がすぐ辞める」という課題に直面したとき、離職率の低い会社の施策を真似たりモチベーション向上策を講じたりするのは、山口さんに言わせれば「具体の泥沼」。そうではなく、「そもそも雇用関係を継続する合理的理由がない状態とは何か?」「合理性を超えて所属したくなる集団(カルトやコミュニティなど)は何が違うのか?」と問い自体の抽象度を一気に引き上げる。そうすることで初めて、小手先の施策に留まらない本質的な解決策が見えてきます。
単なる知識の蓄積ではなく、時代のOSを書き換え、物事を一段高い「メタ」な視点から捉え直すための武器としての人文知。歴史や哲学を学ぶ意義が、ビジネスの生々しい課題解決とも地続きで繋がってくる刺激的な回となりました。
次回はホシノの選書、東畑開人さんの『ミドルエイジ・ビギンズ』をお届けします。どうぞお楽しみに!