ep55-2 『人文知は武器になる』前編/「数字は究極の抽象」「価値観は技術の後に生まれる」
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どうも、ホシノです。
今回はアワノさんの選書、山口周さんと深井龍之介さんの共著『人文知は武器になる』(文春新書)の前編をお届けします。
新事業の立ち上げにあたり「視座が全く違う人の思考を浴びたい」と本書を手に取ったアワノさん。そもそも「人文知(人文科学)」とは、哲学、歴史、文学、芸術、宗教学など、人間そのものの内面や思考を扱う、あらゆる学問の最も原初的な「基礎」にあたる領域です。ビジネスという「応用」の現場で走る人ほど、この走りのフォームのような基礎(人文知)に立ち返りたくなる理由がよく分かります。
今回、アワノさんが特に「偏見を打ち砕かれた」と唸った深井さんの指摘が2つありました。
数字は具体ではなく、究極の「抽象」である
ビジネスでは「具体的に数字で語れ」と言われがちですが、実は数字こそが究極の抽象。「果物が10個」と言えば世界中に伝わりますが、そこからは「腐りかけのリンゴ」や「完熟のイチゴ」といった泥臭い生の具体(実態)が削ぎ落とされています。生々しい現場のデータこそが具体であり、数字ばかりを追う危うさにハッとさせられます。
価値観や規範は「技術革新」の後に生まれる
私たちは「まず家族観や道徳観があって、それに合わせて社会のルールができている」と思いがちです。しかし歴史の順序は真逆。「技術革新」が起き、「生産体制」が変わり、「生活の制約や家族形態」が変わった結果、その生活を安定・正当化するために後から「価値観・規範」が作られてきました。昭和の核家族化と性別役割分担も、まさに高度経済成長という産業の変化が生み出したもの。変化する社会を俯瞰してメタに見るための強力な補助線になります。
歴史という巨大な引きのカメラで社会を捉える知性と、目の前の人に寄り添う現場の感覚。人文知を武器にするとはどういうことなのか、思考の枠組みが揺さぶられる刺激的なお話でした。
次回は、本書からさらに深掘りして後半のポイントをお届けします。お楽しみに!