『「公僕の矜持」か「通報への報復」か――熊本県「くまもと再発見の旅」助成金告発職員の懲戒処分取消請求の口頭審理が終了』のカバーアート

「公僕の矜持」か「通報への報復」か――熊本県「くまもと再発見の旅」助成金告発職員の懲戒処分取消請求の口頭審理が終了

「公僕の矜持」か「通報への報復」か――熊本県「くまもと再発見の旅」助成金告発職員の懲戒処分取消請求の口頭審理が終了

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概要
コロナ禍における熊本県の観光需要喚起策「くまもと再発見の旅」をめぐり、助成金の不適切受給疑惑を告発した県職員が、その後に受けた減給処分の取り消しを求めていた審査請求。2026年10月20日、熊本県人事委員会による第7回口頭審理が行われ、すべての審理が終了しました。処分を受けた職員は「公益通報に対する報復人事である」と主張し、熊本県側は「複数の部下に対するパワーハラスメントが理由であり、通報とは無関係」と真っ向から対立しています。元RKKアナウンサーの宮脇利充氏が、事態の経緯と問われる通報者保護の本質について解説します。聞き手はRKKの江上浩子です。🔶4,500万円の不適切受給疑惑と「もみ消し」告発の経緯問題の発端は、数年前のコロナ禍に実施された旅行代金割引事業「くまもと再発見の旅」にあります。事業の中で、ある旅行業者が約4,500万円の助成金を不適切に受給していた疑いが浮上しました。調査が進められる中、2023年2月、県の幹部が「そこまで詰めなんとや」と発言。担当部署ではこれを見逃しの指示と受け止めました。当時担当だった職員のAさんは不正を見逃すことはできないと主張しましたが、その後調査担当から外されることになります。Aさんは2023年4月、当時の木村敬副知事(現・熊本県知事)を訪ねて不適切受給ともみ消しの実態を内部通報し、同年9月には報道機関へ外部通報を行いました。これを受けて県が設置した第三者委員会(県が選定した弁護士3人)は、2024年4月に「不適切受給も見逃しの指示も認められなかった」とする報告書を公表しました。しかし、業者から県へ一旦自主返還されていた助成金について、県が「返還請求されていないため業者へは返還しない」と説明するなど、不透明な対応に対する疑問は解消されていません。🔶相次いだ不利益な扱いと木村知事への証人申請却下内部通報の後、Aさんには定期異動ではない時期の配置転換、外部通報後の降格人事、そして「減給10分の1(3カ月)」という懲戒処分が下されました。Aさんはこの減給処分の取り消しを求めて県人事委員会に訴えました。Aさんによると、2023年4月に当時の木村副知事へ内部通報した直後、木村氏から「どう部内で上に上げるか、やり方を気をつけて」「内情を暴露するのは、逆にブーメランになって刺しにくるのが既得権・旧体制のやる手段です」といった趣旨のLINEメッセージが届いたとされています。木村知事は今年1月の記者会見で「誰が通報者か知らなかったし、探索も一切していない」と述べています。真相解明のため、Aさんは木村知事への尋問を請求しましたが、県人事委員会の委員長は尋問は実施しないと決めました。🔶診断書なきパワハラ認定と最終審理での訴え10月20日の最終審理において、Aさんと代理人は県側が主張するパワハラ事例を全面的に否定しました。県側は「パワハラを受けた部下が精神疾患に罹患した」ことを処分理由の一つに挙げていますが、審理の中で医師の診断書は提出されていません。Aさん側は、診断書もないまま重い処分を下したのは「結論ありきの報復処分であった証拠である」と主張しています。最終審理の意見陳述で、Aさんは次のように心情を訴えました。「不正を見逃せないと声を上げた職員がどうなったか。これを見た職員は、不正に気づいたときに声を上げるでしょうか。県民の不利益になる不正は正さなければならない。それは公僕としての矜持です」🔶公益通報者保護法の改正と今後の焦点奇しくも、改正公益通報者保護法が今年2026年12月1日に施行されます。新法では、通報を理由とする解雇や懲戒に対する刑事罰の新設(法人には3,000万円以下の罰金)や、通報から1年以内の不利益処分は通報を理由としたものと推定する規定が盛り込まれています。法の不遡及の原則により今回の事案に直接適用されることはありませんが、組織の自浄作用を支える通報者をいかに守るかという観点は、行政組織において極めて重要な命題です。県人事委員会による裁決書は、通例であれば2〜3カ月後に出される見通しです。人事委員会がパワハラ処分の妥当性にとどまらず、...
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