『マンガがDXに成功し、V字回復できたのはなぜか / 電子書籍でよく売れるもの、売れないもの / 「マンガは電子と相性が良い」理由の整理』のカバーアート

マンガがDXに成功し、V字回復できたのはなぜか / 電子書籍でよく売れるもの、売れないもの / 「マンガは電子と相性が良い」理由の整理

マンガがDXに成功し、V字回復できたのはなぜか / 電子書籍でよく売れるもの、売れないもの / 「マンガは電子と相性が良い」理由の整理

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かつてマンガ雑誌は、それ自体が商品であると同時に、3つの大きな役割を果たしていた。①送客②宣伝③育成である。① 送客(retention )…週次・月次で発売される雑誌の発売日に合わせて書店への来店を促す機能② 宣伝(promotion )…雑誌上で、その雑誌や出版社発の書籍や企画を宣伝する機能③ 育成(incubation )…新人・新作の発表の場を与え、才能を発掘し、作品を育成する機能雑誌で主催した新人賞出身の作家を増刊の雑誌に投入して育成し、機会を見て本誌に投入、人気が出れば連載に昇格させ、その連載マンガをコミックスにして売る。こういうものが、ある世代までがよく知る日本のマンガ業界の特徴だった。ところが雑誌の需要が減ると書店への来店動機が失われ、書籍にも勢いがなくなる――これが日本の出版業界が1990年代後半から直面している問題だ。マンガ業界はそれでもコミックスが横ばいを保っていたのが、おどろくべきことだが。日本の書籍産業は、雑誌目当てに本屋によく来る顧客の来店回数の多さと、雑誌に掲載されている作品や情報によって次に買う書籍の目星をつける宣伝効果をアテにしていた。そのため、書籍単体で採算をとらなければならない他の多くの国とは異なり、書籍にかけるプロモーション予算は小さく、発売前の宣伝・予約期間も短かった。取次が書店が頼んでもいない本を過去の販売実績や店の規模などに合わせて送りつける「見計らい配本」という日本独自の流通制度もあいまって、書籍出版社は「出たとこ勝負」「とりあえず刷って書店に撒く」的な商売のしかたになりがちだった。それが30〜40%という高い返品率につながってきた。しかもこれは発売からしばらく経った既刊も含めた数字であり、発売間もない新刊ほど、書店から出版社への返品率は高い。その非効率的な商慣習の上に「雑誌の衰退」が重なる。さらには書籍の刊行点数を爆増させた。これらが2000年代以降、多くの書籍が、出ていることすらほとんどの人に知られずに返品されまくる事態を生み出した。ころが2010年代に登場したマンガアプリやウェブマンガ誌は、紙の雑誌の機能を代替し、紙の雑誌の衰退により発生していた課題を解決した。全体像から説明すると、マンガアプリは、①出版社が新作マンガの開発・育成を主目的としたサービス② 各社の電子書籍、ウェブトゥーンを取り扱うストア/プラットフォームの二系統に分かれる。前者①は「マンガ雑誌」、後者②は「書店」と同様の機能を持つ。①の代表が集英社の少年ジャンプ+であり、アプリオリジナルの連載作品『SPY×FAMILY』『怪獣8号』などが生まれた。また、2020年代に入ると、マンガアプリよりも運用コストが安く、ソーシャルメディアへの共有がしやすいウェブマンガ誌に改めて注目が集まり、講談社のヤンマガWeb など、出版社発のメディアが伸び基調にある。②の代表がカカオピッコマのピッコマであり、さまざまな出版社、CP社(コンテンツプロバイダ。日本で言う「ウェブトゥーン制作スタジオ」「プロダクション」)の作品を取り扱い、マンガアプリとして日本最大級の売上を誇る。マンガアプリでは、2014年に小学館マンガワンが成功させて以降、「話売り」と呼ばれる、連載マンガの単話形式での販売が一般化する(正確にはガラケー時代からコミックの単話販売はあったが、スマホ/タブレット上のサービスでは2014年頃から)。また、「ライフ/チケット制」と呼ばれる1枚で1話読める無料チケットを1日2回、1回4枚配布するしくみか、ピッコマが韓国のカカオページから持ち込んだビジネスモデル「待てば無料」(23時間につき1話無料で読める。それ以上読みたければ課金する必要がある)と「話売り」を組み合わせた。日本では、紙のマンガをデジタルにリプレイス(代替)しながらも、新人・新作を育成する「雑誌」(マンガアプリ、ウェブマンガ誌)と、各社の雑誌から育った作品を集めた電子「書店」(ピッコマ、Amazon など)が分業するかたちで共存している。また、連載最新話を単話形式で課金して読...
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