『「読む」と「買う」は別の話 / 「雑誌」と「書籍」も別の話 / 労働時間は減り、自己啓発の時間も減っている / 「なぜ減っていると思うか」の定量調査の結果の扱いは要注意 / 「気持ち」と読書量はつねに一致するわけではない / 「スマホばかり見るようになって読書時間が激減している」とまでは言えない / 「読書推進」の限界――小中学生の読書量は増え、  高校生以上は横ばいの背景にある「遺伝」』のカバーアート

「読む」と「買う」は別の話 / 「雑誌」と「書籍」も別の話 / 労働時間は減り、自己啓発の時間も減っている / 「なぜ減っていると思うか」の定量調査の結果の扱いは要注意 / 「気持ち」と読書量はつねに一致するわけではない / 「スマホばかり見るようになって読書時間が激減している」とまでは言えない / 「読書推進」の限界――小中学生の読書量は増え、  高校生以上は横ばいの背景にある「遺伝」

「読む」と「買う」は別の話 / 「雑誌」と「書籍」も別の話 / 労働時間は減り、自己啓発の時間も減っている / 「なぜ減っていると思うか」の定量調査の結果の扱いは要注意 / 「気持ち」と読書量はつねに一致するわけではない / 「スマホばかり見るようになって読書時間が激減している」とまでは言えない / 「読書推進」の限界――小中学生の読書量は増え、  高校生以上は横ばいの背景にある「遺伝」

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全国大学生活協同組合連合会「学生生活実態調査」では、大学生の不読率(読書時間0分)の割合は2004年には38・7%、2024年には45・6%と上昇傾向にある。しかしがったと言っても高校生や大人の不読率と同程度の「ふたりにひとりが読まない」にすぎない。日本では大学進学率は上昇し続けている。少子化にもかかわらず、学生の数は過去最高水準を維持している。「大学全入時代」と言われるほど大衆化した。大学の数自体が増え、入試方法もスポーツ推薦を含めて多様化した。結果、かつてのように「文字の多い教科書や参考書を読んで勉強する」ことに適性のある人間以外も大学に進学している。そうなれば大学生の不読率が高校生や日本人全体と大差なくなるのは当然だ。なお、不読率は上昇しているのに、不読者を含む学生の平均読書時間はこの20年間ずっと30分程度で変わっていない。どういうことなのか。実は読書をする学生の平均読書時間は2004年の49・1分から2024年には63・1分と1日14分程度伸びている。「最近の学生は本を読まない」とも「最近の学生はまじめになっている」とも言われるが、両者は両立する。そのことを「学生生活実態調査」は示している。まじめな学生の読書時間は伸びていると捉えられるからだ。不読者が増える一方で、「読む学生」の読書時間は増えているという「二極化」が進行している。「全体的にみんな読まなくなっている」わけではない。書籍の読書率、読書量は、青年期以上の年齢では時代による変化にとぼしいとみるべきだ。戦後の出版流通システムができあがり、モノ不足(本の材料となる紙材不足)が解消された1950年代頃から、子どもを除く日本人の読書量や読書率にはほとんど変化がないからだ。出版業界は1990年代後半から売上が落ちているのに、読書量が変わっていないなんておかしい、と思うかもしれない。こうした「読む」と「買う」を短絡的に結びつける考え方はよく見られる。しかし、読む量と買う量は単純にイコールにはならない。イコールになるなら「積読」という言葉は存在しない。出版市場が成長していた時代にも、書籍の読書量が増えていたわけではない。書籍は、読書量と購買量の傾向が一致しない。仮に日本人の平均読書冊数を月1・5冊として人口1・2億人とすると日本人は年間21・6億冊読んでいる。2024年には書籍の推定販売部数は約4・4億冊、公立図書館では個人貸出と団体貸出を合わせて約8・3億冊(出版科学研究所、日本図書館協会調べ)。買った・借りた本をすべて読んだというムリな仮定を置いても残り4割、8・9億冊は新刊書店でも公共図書館でもないところから調達した書籍が読まれていることになる。古本屋もあるし、各家庭のなかにも本はある。新刊書店と図書館は読書を語る際に重要な場所だが、それらだけで人々の読書は完結しない。本屋と図書館の話だけでは、読書の全体像の5、6割しか把握できない。本屋で買う本の外にも、読書はひろがっている。この点から考えても「読む」と「買う」は単純に一致しえない。読書量と市場動向の不一致はめずらしいものではない。アメリカではNAEP(全米学力調査)、UK(英国)ではNLT(国立識字基金)が子ども・若者の読書調査を実施しているが、いずれも近年では減少傾向にある。ところがアメリカのCircana BookScan などが発表している書籍の市場調査を見ると、児童書やヤングアダルト﹇YA﹈(10代向け)市場はむしろ成長傾向にある。世界に目を向けても「読む」と「買う」の不一致、「読書量は減っているが本の市場規模は横ばいや微増」(あるいはその逆)といった現象はめずらしくない。日本の出版市場の課題のひとつは「書籍を読まない」ことにではなく、「本を買わない」ことにある。「本を読まなくなっているから、買わなくなっているにちがいない」という誤った因果推定にもとづいた「本離れ」論は、認識が雑すぎる。「雑誌」と「書籍」も別の話ただし、「読まなくなっており、買わなくもなっている」が日本で該当する出版カテゴリー...
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