『2000年代前半のウェブ小説書籍化 自費出版・掲示板文化・ガラケーサイト オンライン発、自費出版のヒット作『オルゴール』 第一次ケータイ小説ブーム 『Deep Love』 出版社系携帯小説配信サービス 『いじわるペニス』『クローズド・ノート』 「楽園」での高評価を受けて新人賞投稿に至った米澤穂信『氷菓』 アルファポリスのドリームブッククラブ』のカバーアート

2000年代前半のウェブ小説書籍化 自費出版・掲示板文化・ガラケーサイト オンライン発、自費出版のヒット作『オルゴール』 第一次ケータイ小説ブーム 『Deep Love』 出版社系携帯小説配信サービス 『いじわるペニス』『クローズド・ノート』 「楽園」での高評価を受けて新人賞投稿に至った米澤穂信『氷菓』 アルファポリスのドリームブッククラブ

2000年代前半のウェブ小説書籍化 自費出版・掲示板文化・ガラケーサイト オンライン発、自費出版のヒット作『オルゴール』 第一次ケータイ小説ブーム 『Deep Love』 出版社系携帯小説配信サービス 『いじわるペニス』『クローズド・ノート』 「楽園」での高評価を受けて新人賞投稿に至った米澤穂信『氷菓』 アルファポリスのドリームブッククラブ

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飯田一史『ウェブ小説30年史』の2000年代前半についてのAI解説音声です。■アルファポリスのドリームブッククラブ 2001年に起こった重要な出来事は、5月にアルファポリスが第1弾書籍である、桃『夜を旅する童話たち』を刊行したことだ。 アルファポリスは2000年8月に法人を設立し、同名のサイトをオープン。「アルファポリス」、つまりウェブ上にある都市なのだと謳っている点には、小説家のウィリアム・ギブスンが1984年の『ニューロマンサー』で世に広めた「サイバースペース」という概念からの流れを感じさせる。また、iモードの立役者のひとり夏野剛が『あ・ら・iモード』(日経BPコンサルティング、2002年9月刊)で語った「ネット上のプラットフォームのやり方は都市開発と同じで、良いサービスを作ってもそこに入るテナントがよくないと成功しない」という持論や、GMOインターネットの熊谷正寿が「線路敷設→百貨店・スーパーなどのショッピング施設を開店→遊園地など娯楽施設建設」という鉄道系財閥が築いたビジネスモデルをインターネットでも踏襲するべきだと考えた「インターネット鉄道経営論」といった同時代のネット起業家との近似性を感じさせる[1]。小説投稿機能が一世を風靡した魔法のiらんども、「ランド」という空間表象を名前に用いている。 アルファポリスは2001年9月に「ドリームブッククラブ」を開始した。 ドリームブッククラブは何度かしくみを改訂しているが、Internet ArchiveのWayback Machineで確認できる最古のページ(2001年4月15日)では、著者がアルファポリス上に作品を公開(アップ)してから3か月のあいだに1冊1000円(送料込み)での100冊の購入予約が集まるか、1口1万円で募る合計投資額が出版金額をクリアすれば、初版500部で商業出版できる、というしくみだった。 なお、このときの規約には「予約や投資が集まらなかった作家は自費出版も選択できる」との一文があり、「自費出版とウェブ小説の近さ」はこの時期のアルファポリスについても指摘できる。 ただしドリームブッククラブと自費出版とでは、ビジネスモデルが根本的に異なる。自費出版は、素人が書きたいものを書く「プロダクトアウト」での出版だ。それゆえ、売上的には死屍累々にならざるをえない。読者(客)がいるのかどうかわからない状態で出してみて世に問うものだからだ。ドリームブッククラブの画期性は、先に読者と制作資金を集めてから刊行するという「マーケットイン」の発想に基づき、ヒットの目を見つけやすくしたことにある。このしくみがあれば、たとえ重版がかからなくても一定数は必ず売れるために版元としてのリスクは少なく済み、最低でも確実に「100人読者がいる」と実感できることで作家も支援者である読者も満足できる。 対して自費出版ビジネスの雄・新風舎は「自費出版でも『全国配本』を謳っているが、全然書店に置いていないじゃないか」という著者たちの不満が高まっていく。2007年7月には著者から訴訟を起こされ、悪評が広まったことで2008年1月には破産申請、2010年2月には破産廃止(倒産)した。 一方、アルファポリスは創業以来20年以上にわたって右肩上がりの成長を続けていく。「読者を集めてから本を出す」という今日では一般化したウェブ小説書籍化のビジネスモデルが、「読者がいるかわからないが書き手にカネを出させて本を出す」モデルに勝利したのだ――そしてこのモデルはプロ作家が書いた本よりも打率が高く売れる本を量産することにもなる。ドリームブッククラブの開始とスターツ出版による『Deep Love』の商業出版はほぼ同時期の出来事だった。それまで小説の評価は、新人賞にしろプロ作家を対象にした文学賞にしろ、基本的には選考委員(作家、批評家、編集者などのプロフェッショナル)による「定性的」な評価が基本だった。もちろん『週刊文春ミステリーベスト10』『このミステリーがすごい!』などのようにアンケート集計式のランキングも1970年代から存在...
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