『6月の崩壊(オーディオブック)』のカバーアート

6月の崩壊(オーディオブック)

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第1章: 6月の崩壊記憶というのは面白いものだ。四十五歳になった今も、私の頭は過去を年号や日付ではなく、温度と音で分類する。2026年を思い浮かべるとき、私はカレンダーを思い浮かべない。息を詰まらせる空気のない熱気と、世界が引き延ばされた恐怖に慄くささやきの中で静かに終わっていく音を、私は思い浮かべる。その年の6月は「訪れた」のではなかった。それはむしろ「降り下ろされた」。マンハッタンの上に、厚く黄色がかった息苦しい抑圧の毛布が落ち着いた。それは溶けるアスファルト、古いオゾン、そして足元が崩れ去ることをゆっくり悟りつつある八百万人の酸っぱい汗の匂いがしていた。空そのものが押し下ろしているようで、都市が呼吸を許さない、低く打ち身のようなドームだった。すべての息が戦いだった。すべての動きがひと苦労だった。私はその時二十六歳。104番街とレキシントン・アベニューの狭い四階離れアパートをルームメイトと共有していた。私たちは境界、見えないが触れうる線の上に住んでいた。

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