#154 現状打破の交渉学③ 「現状打破の交渉者になる5つの方法」 安藤雅旺
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日本交渉協会代表理事の安藤による「現状打破の交渉学」シリーズ第3回は、全3回の完結編として「現状打破の交渉者になる5つの方法」をお届けします。前回・前々回に続き、ハーバードのマイケル・ワトキンス著『ビジネス交渉術』(原題:Breakthrough Business Negotiation)より、「誰もが学習によって優れた交渉者になれる」という前提のもと、個人および組織が交渉力を飛躍的に高めるための実践原則を解説します。
後半では、日本交渉学の父・藤田忠先生が自ら実践された「弱者を救う交渉」の実話エピソードもご紹介します。
【TODAY’S TOPICS】
◎現状打破の交渉者になる「5つの方法」【個人の視点】
1.個人の専門能力を開発する
・パターン認識:煩雑な情報から不要なノイズを取り除き、「脅威」と「機会」を整然と見分ける力。
・並行管理(二重能力):交渉の内容を追いながら、同時にプロセスの展開を形づくる力。
・行為内反省:緊迫した局面でも客観的に自分を見つめる「バルコニーに出る」視点。木(細部)にとらわれず森(全体)と戦略を同時に捉える。
2.専門知識を伸ばす
・シミュレーションの活用:実戦経験だけでなく、難度の高い事例やリアルなシナリオを用いたロールプレイング訓練が、正確で迅速な判断力を養う。
【組織の視点】
3. 組織能力を開発する
・チーム交渉の相乗効果:個人の属人性に頼らず、異なるスキルを持つメンバーが知見を共有し合うことで組織全体の交渉力を最大化する。
4.組織的な学習を理解する
・知識の流出防止とプール:新入社員への育成や、熟練者の持つ知見を組織内に共有・蓄積(プール)する仕組みづくり。
5.学習する組織の構築・共通言語の浸透:BATNA、ZOPA、アンカリングなどの共通概念で対話できる土壌を作る。
・徒弟制度(OJT)と定型書式の整備:熟練者との同行や、交渉の落とし穴・暗黙知を文書化してルール化する。
・事後分析(レビュー)の徹底:
→失敗した時:「諦めることは会社にプラスかマイナスか」「どうすれば早期に撤退・修正できたか」
→成功した時:「何がうまくいったのか」「見落としていたリスクはなかったか」「当初の想定と結果のギャップは何か」
◎藤田忠先生が遺した「弱者を救う交渉道」の実話
・学費困窮で中退・帰国を選択する瀬戸際まで追い詰められたトルコ人留学生のために、トルコでもビジネスを展開している大手企業のトップに直談判し、200万円の学費援助を引き出した藤田先生の交渉。
・その留学生は後に駐日トルコ大使となり、両国の架け橋として大きな恩返しを果たす「善の循環」を生み出した。
・交渉とは、単なる駆け引きの技術ではなく、困っている弱者を救い、社会を良くするために使われてこそ真の価値を発揮する。
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お聞きいただきありがとうございました。交渉学についてより詳しい内容をお知りになりたい方は、『交渉アナリスト』のサイトをご覧ください。