迷子の心が集まる停留所|少し不思議な人生の話 第9話
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どちらを選んでも、
正解が分からない。
そんな瞬間はありませんか。
進むべきか。
残るべきか。
夢を追うべきか。
大切な人のそばにいるべきか。
人生には、
どちらを選んでも失うものがある選択があります。
そして私たちは、
選ばなかった道のことを、
何度も思い出してしまいます。
二十九歳の栞は、
人生を変える転職の話を前に立ち止まっていました。
憧れていた出版社への転職。
けれど地元には、
認知症の兆しが見え始めた母がいます。
夢を選ぶのか。
母を選ぶのか。
どちらを選んでも、
後悔してしまう気がしていました。
そんなある雨上がりの夜。
栞は帰り道で、
見覚えのない停留所を見つけます。
そこに書かれていた名前は――
『迷子の心が集まる停留所』
そこへやって来たのは、
音もなく走る不思議なバスでした。
乗客たちが見せられるのは、
自分が選ばなかった人生。
歩まなかった未来。
もしあの時、
違う道を選んでいたら。
その先には、
どんな人生が待っていたのでしょうか。
これは、
後悔をなくす物語ではありません。
正しい選択を教えてくれる物語でもありません。
選ばなかった人生を思いながら、
それでも自分が選んだ道を歩いていく。
後悔も迷いも抱えたまま、
自分の人生を生きていく物語です。
もし今、
人生の分かれ道で立ち止まっているなら。
もし、
「あの時、違う選択をしていたら」と
考えてしまう夜があるなら。
この物語が、
自分で選んだ人生をもう一度歩き出す、
小さなきっかけになりますように。
『少し不思議な、人生の話』
日常のすぐ隣にある小さな不思議を通して、
人生や心を描く物語をお届けします。
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