『転んで見えたもの』のカバーアート

転んで見えたもの

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概要
転んで見えたもの 福岡県在住  花田 浩美 現在、私は天理教の教会の会長婦人として、教会のご用をさせていただいています。 先日、教会から駅まで、およそ二十分の道のりを、会長である主人と妹、そして私の三人で、神名流しとごみ拾いをして歩いていました。すると、妹が突然転んでしまいました。 「痛いー!!」と大声で叫んだため、道路の向こう側にいた方が、とっさに駆け寄って「大丈夫ですか?」と声を掛けて下さるほどでした。 幸い、妹は主人と手を繋いで歩いていたため、頭や顔をぶつけることはありませんでしたが、病院で診てもらうと、左腕の剥離骨折でした。三角巾で腕をつるし、動かないように固定され、不自由な生活を送ることになりました。 妹は38歳になります。産まれた時に声を出すことができず、泣くと呼吸が止まってしまうという病気を持っていました。命の危険があったので、泣かないように、ミルクに精神安定剤のような薬を入れて、飲ませては眠らせ、お腹が空く頃に起こし、泣かないようにまたミルクを飲ませ、眠らせるという治療を一ヶ月繰り返しました。 また、精神と運動の発達に遅れが見られる、精神運動発達遅滞という状態で生まれてきました。これは、全体的に発達の仕方がゆっくりであるという状態で、適切な訓練次第で、その子が本来持っている可能性を最大限に広げていくことが出来るということなのだそうです。 妹が通っていた保育園では、とにかく歩くことを勧められたので、母は毎日、妹の両手を引いて保育園まで連れて行きました。そしてその道中、草花を見つけたり、空を見上げ、飛び立つ鳥を見つけては、「きれいだね」「かわいいね」と語りかけ、さまざまなことに興味が持てるよう、一生懸命語りかけていました。そのおかげか、妹の描く絵は彩り豊かで、とても温かみがあります。 妹は言葉も動作もゆっくりですが、その分一つ一つのことに対して丁寧に取り組む姿があります。神様にお供えしてあるもののお下げや、食事の準備や後片付けなど、決まったことを黙々としてくれます。字も丁寧に上手に書きます。できることは、まだまだいっぱいあります。何より、妹が笑うと周りの空気が和みます。 ですが、その一方で、途中で別のことに気を取られると、遊び心が先に来てしまい、終わるまでに時間がかかることがあります。 なぜか丸いものが好きで、コマのように回しては、台から落ちるのが楽しいようで、回しては落とすことを繰り返します。特に台所には丸いものが沢山あるので、誰かが注意をしないとやめられません。また、「ものを出したら片付ける」といったことがなかなか身につかなかったり、言葉を声に出すことも少し苦手です。 骨折したことをきっかけに、それまで妹がしてくれていたことを家族みんなで分担するようになると、「こんなにもたくさんのことを、毎日黙ってしてくれていたんだ」と、あらためて感謝の思いが湧いてきました。 骨折して以来、髪を洗ったり背中を流したりするために、母と交代で、妹と一緒にお風呂へ入るようになりました。その時間を使って、妹が前向きに自分の気持ちを言葉にするための練習として、「よかった探し」をするようにしました。 「手をつないでいたから、この程度で済んでよかったね」「利き手の右手じゃなく、左手でよかったね」 「足じゃなかったから歩けるね。ありがたいね」「親神様の『かしもの・かりもの』の教えを、身をもって実感できたね」 また、難病を抱え、不自由な生活を送っている身近な方のことを思い浮かべながら、「ほんの少しかもしれないけれど、その方の気持ちに寄り添わせていただく機会になったね」と、そんな話もするようになりました。 妹の言葉の練習になればと思って始めたことでしたが、不思議なことに、「大変だったね」「かわいそうだったね」と言うよりも、「よかったね」「ありがたいね」と言うほうが、自分自身の心まで明るくなっていくことに気づきました。 起こってきた出来事は変えられません。しかし、使う言葉や心の向きを変えることで、見える景色は大きく変...
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