記憶を預かる図書館|少し不思議な人生の話 第5話
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忘れたくないのに。
少しずつ思い出せなくなっていくものがあります。
声。
笑い方。
何気なく呼んでくれた名前。
一緒に笑った帰り道。
大切だったはずなのに。
昨日のことみたいに覚えていたはずなのに。
気づけば、輪郭だけが少しずつ薄くなっていく。
それが、どうしようもなく怖い夜があります。
31歳の春菜にも、そんな人がいました。
高校時代からの親友、美月。
三年前に突然別れたその人の声だけが、少しずつ思い出せなくなっていました。
ある雨の夜。
仕事帰りの商店街で、春菜は見たことのない小さな図書館を見つけます。
その名は――
『記憶を預かる図書館』
そこには、不思議な決まりがありました。
一冊読むたびに、ひとつ記憶を預ける。
だから誰も、最後の本を開こうとしません。
忘れたいわけじゃない。
でも、思い出すたびに苦しい。
もし、大切な人との記憶を手放すことで、少しだけ前へ進めるとしたら。
あなたは、その本を開きますか。
これは、記憶を消す奇跡の物語ではありません。
忘れてしまうことを、少しだけ許してあげる物語です。
もし今、もう会えない誰かを思い出しているなら。
少しずつ思い出せなくなっていく自分を、責めてしまっているなら。
この物語が、あなたの心を少しだけ軽くする時間になりますように。
――――――――――
「人生を変えた、あの夜。」
感動と少し不思議が交わる、心に残るオリジナル短編物語をお届けする朗読Podcastです。
眠る前に。
夜の帰り道に。
少しだけ立ち止まりたい夜に。
物語が心に残ったら、番組をフォローして、次の夜を待っていてください。
また、次の夜に。
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