組織改革を遅らせているのは、上司の「優しさ」:君主論⑦
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君主論シリーズ⑦
以前、あるマネージャーがこう言っていました。「チームをなるべく傷つけたくないから、変化は少しずつやっていこうと思う」。気持ちは、本当によく分かります。一度に大きく変えて、メンバーが離れていったら——そのリスクは怖い。
でも、結果はどうだったか。3年間かけてゆっくり変化させたチームは、3年間ずっと不安定でした。何かが変わるたびに「次は何が変わるんだろう」という空気が漂う。変化が終わらないから、安心が来ない。 一方で、一度に決断してその後を丁寧にフォローしたチームは、6ヶ月で安定に向かいました。「もう変化は終わった。ここから前を向こう」という空気が生まれたからです。
「変えない優しさ」が、じつは最も長く痛みを引き延ばしていた——今回のエピソードは、この観察から始まります。
マキャヴェッリは『君主論』第8章で「加害は一気に、恩恵は小出しに」と書きました。最初に読んだとき、僕はこの言葉が怖かった。残酷さを推奨しているように聞こえたからです。でも読み続けると、彼は必ずその後に「そのあとを丁寧に扱え」という言葉を添えている。「一気にやる」は残酷の称揚ではなく、長期の疲弊から組織を守るための処方だった。
今回は第6章「革新者の孤独」、第8章「残酷さの使い方」、第21章「評判を得る方法」を使って、組織改革における痛みの与え方——つまり時間の設計を扱います。
サムネ画像:イグナッツ・ゼンメルワイス ( 1818年7月1日 - 1865年8月13日) 、医師
参考書籍
- マキアヴェッリ『君主論』河島英昭 訳(岩波文庫、1998年) ISBN 978-4-00-340031-9河島英昭による定番の新訳。本シリーズが底本として参照する原典。本エピソードは、理想論との決別と権威の構造を論じる第15・16・17・18・19章を扱っています。岩波書店 公式:https://www.iwanami.co.jp/book/b248711.html
- 鹿子生浩輝『マキァヴェッリ ――『君主論』をよむ』(岩波新書、2019年) ISBN 978-4-00-431779-1『君主論』を時代背景と原典に即して読み解く入門書。第15章の「あるべき姿」批判から第19章の憎悪・軽蔑論までを扱う本エピソードの副読本に最適。岩波書店 公式:https://www.iwanami.co.jp/book/b452029.html
番組で取り上げた書籍紹介
https://www.valuebooks.jp/shelf-items/folder/84676b46a574170
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