涙を預かる写真館|少し不思議な人生の話 第8話
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泣きたいはずなのに。
なぜか涙が出ない。
そんな経験はありませんか。
悲しいはずなのに。
寂しいはずなのに。
「大丈夫」と言い続けるうちに、
本当の気持ちを心の奥へ閉じ込めてしまうことがあります。
母を亡くして三年。
陽菜は、
一度も涙を流していませんでした。
悲しみを乗り越えたと思っていた。
前を向けていると思っていた。
けれど本当は――
泣けなくなっていただけでした。
そんなある雨上がりの夕暮れ。
陽菜は路地裏で、
一軒の不思議な写真館に迷い込みます。
そこに掲げられていた名前は――
『涙を預かる写真館』
店主が撮るのは、
笑顔の写真ではありません。
心の奥に閉じ込めた、
流すことのできなかった涙。
そして陽菜は、
一枚の古い写真と出会います。
そこに残されていたのは、
忘れたふりをしていた悲しみと、
ずっと聞きたかった言葉でした。
これは、
悲しみを消す物語ではありません。
悲しんでもいい。
泣いてもいい。
そうやって、
自分の本当の気持ちを受け入れる物語です。
もし今、
あなたの心にも流せずにいる涙があるのなら。
無理に強くならなくてもいいのかもしれません。
この物語が、
心の奥に閉じ込めた気持ちを、
そっと解き放つ時間になりますように。
『少し不思議な、人生の話』
日常のすぐ隣にある小さな不思議を通して、
人生や心を描く物語をお届けします。
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