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伝えたい思いがある

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概要
伝えたい思いがある 埼玉県在住  関根 健一 私は5、6年ほど前から、友人が立ち上げた一般社団法人の理事を務めています。そして今年、重度訪問介護の資格を取得し、その法人で週に一度、障害のある方の支援に携わるようになりました。 長女に障害があることから、障害福祉の世界には長年関わってきましたが、実際に現場で介護の仕事をするのは今回が初めてです。多少の戸惑いはありましたが、利用者さんと過ごす時間は想像以上に充実していて、とてもやりがいのある仕事だと感じています。 私が担当しているKさんは、娘たちと同世代の青年です。視覚障害と知的障害の重複障害があり、発語もありません。夕方、Kさんが通所している福祉事業所へ迎えに行き、翌日のお昼まで二人きりで一緒に過ごしています。 担当が決まった時、一番の不安はコミュニケーションでした。「言葉が通じない利用者さんと、どう接したらいいのだろう」。そんな私に、長年Kさんを支えてきたスタッフの一人が、こんな話をしてくれました。 「私はKさんのことが、自分の息子みたいに可愛いんです」 その言葉がとても印象に残りました。言葉で会話が出来ない相手を、どうしてそこまで愛おしく思えるのだろう。その理由を知りたいという思いで、私は支援に臨みました。 実際に関わってみると、もちろん言葉が通じないことで不便を感じる場面はあります。しかし、Kさんはとても穏やかな性格で、自分のして欲しいことや嫌なことを、身振りや表情で一生懸命伝えてくれます。 Kさんは、うれしい時、不安な時、安心している時、それぞれ表情や体の動きが少しずつ違います。最初はその違いが分かりませんでしたが、一緒に過ごす時間を重ねるうちに、「今日は何か気になることがあるのかな」「今は安心しているんだな」などと感じられる場面が少しずつ増えてきました。言葉がなくても、人と人は時間をかけて通じ合えるものなのだなと実感しています。 これは決して私の力ではなく、長年関わってきた支援者の皆さんが、言葉以外のコミュニケーションを積み重ね、Kさんとの関係を築いて下さったからこそ、今の私もその延長戦上で関わることが出来ているのだと思います。 重度の知的障害のある方には、発語のない人が少なくありません。かつて、知的障害のある人を「白痴」と呼んでいた時代がありました。 今では差別用語として使われなくなりましたが、その言葉が示すように、「言葉が話せない人は何も考えていない」と思われていたのでした。 しかし、私はそうは思いません。 私の周りには、言葉では話せなくても、支援者がそっと手を添えることで鉛筆を動かし、自分の思いを文章にする人がいます。また、ゲーム機のメモ機能を使って、その日の出来事や感じたことを日記として書き続けている人もいます。その姿を見ていると、人は言葉として発することが出来なくても、必ず内なる思いを持っているのだと感じます。 私がこれまで多くの重度障害者の方と接してきて強く感じるのは、言葉でコミュニケーションが取れないこと自体が不幸なのではないということです。本当に悲しいのは、「この人は何も考えていない」と思い込んだ瞬間に、周囲がその人とコミュニケーションを取ろうとすること自体を諦めてしまうことではないでしょうか。 言葉として発せられなくても、その人の中には思いがあり、願いがあり、感情があります。まず、それを信じることからコミュニケーションは始まるのだと思います。 考えてみれば、私たちは普段から言葉だけで人を理解しているわけではありません。表情やしぐさ、声の調子、その人らしい普段の様子など、様々なものを感じ取りながら相手を理解しています。だからこそ、言葉が話せないという理由だけで、その人の心まで無いものと決めつけてしまうのは、とてももったいないことだと思うのです。 私自身、長女を育てる中で、多くの重度障害者の方々と出会ってきました。その経験から、自然とどんな障害のある人にも、「きっと何か伝えたい思いがある」と考えるようになりました。そうして相手の...
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