人生に迷ったとき、人はどこへ向かうのでしょう。世界遺産・大峯奥駈道を舞台に描く、修験の里「前鬼」の物語。山で出会った不思議な少年・ギガクが導く先に待っていたのは、人生を変える絶景でした・・・【ペルソナ】・芝 京子(27歳)=仕事上のパワハラもどきの対応に疲れ吉野・大峯奥駈道へ・ギガク(12歳)=大峯奥駈道で道に迷った登山者を助けている少年【プロローグ:予知夢】◾️SE:激しい雷雨の音『恐れるな。未来はお前の中にある』(※鬼もしくは釈迦の声)『迷わず、進むべき道を進め』だれ・・・?私に、どうしろっていうの・・・?答えてよ!【シーン1:前鬼林道〜前鬼不動七重の滝】◾️SE:山の中の環境音はぁ、はぁ、はぁ・・・ちょっと、なによ。ここ・・もう2時間くらい歩いてるのに、コンビニも自販機もないじゃん。ってか、民家もなくない?奈良県下北山村の前鬼林道(ぜんきりんどう)・・・まあ、舗装された道だからいいんだけど・・・私の名前は京子。大阪の広告代理店に勤める27歳。どうして、こんなとこへきちゃったんだろう。朝いつものホームから、衝動的に会社と反対方向の特急に乗った私。頭の中は、”できるだけ都会を離れて、できるだけ遠くの田舎へ”。いやなことはすべて忘れたい・・・特急に乗ってすぐスマホを開いた。テキトーに検索してるとき、目に入ったのが『世界遺産 前鬼(ぜんき)の里』という文字。なに、これ?おもしろい。前鬼、『前』の『鬼』という文字が心に刺さり、私を突き動かした。特急から鈍行に乗り換えて熊野市(くまのし)駅へ。駅前の靴屋でハイヒールを脱ぎ捨て、スニーカーを買った。バスを乗り換え、降りたのは前鬼橋(ぜんきばし)のたもと『前鬼口(ぜんきぐち)』。そこから2時間近く歩いたところで・・・。『前鬼不動七重の滝(ふどうななえのたき)森林浴歩道』の看板。へえ〜。面白そう。100mくらい歩いたら・・・おお〜っ!滝と渓流かあ・・・待って。ここに、滝が七つもあるってこと?もう少し歩いて滝の正面へ。ふう〜(※深呼吸)体中にマイナスイオンを浴びて深呼吸。私、まだ少しは、がんばれそうかな・・・【シーン2:前鬼・小仲坊〜太古の辻】◾️SE:山の中の環境音/足音『前鬼・小仲坊(こなかぼう)』・・・なんだろう・・・宿坊?宿坊ってなに?え?てか、ちょっと待って。あの看板・・『太古の辻(たいこの/つじ)まで2.5キロ』世界遺産 大峯奥駈道(おおみね/おくがけみち)、ってまだこの先なの〜!?う〜ん。どうしようかなあ・・・体クタクタで迷ったけど、ま、2.5キロだし、せっかく来たんだから・・・と、重い腰を上げた。出発するとすぐ、目の前には苔むした石垣が続く。なんの跡だろう。これ・・・気になりながらも沢沿いを抜けていく・・・すると・・・わ、木製の階段がひたすら続いてる・・これを登るのか・・・ううう一段ずつ今何段目かわかるようにつけられた数字のプレート。数えながらやんなっちゃいそう。半分ほど登ったところで、見えてきたのは、行く手を阻むようにそびえる。大きな2つの岩。まるで、ここから先は立ち入り禁止、と言ってるように。足を止めた瞬間。私の膝はガクガクになっていた。足の痛みと疲れに耐えきれず、岩の下に腰を降ろして、靴を脱ぐ・・・え、うわ、ひどい靴擦れ・・・最悪・・あたりを見回しても、人っこ一人いない。しかも、陽はもう少し傾き始めてる。やっぱ、やめときゃよかった。だんだん気持ちが萎えていく。もう真剣に引き返そうかと考えていたとき、◾️SE:草むらがガサガサ動く音え?反対側の草むらが動いた。やばい!クマか?クマ避けスプレー買っとけばよかった。そう思って振り向くと、「え〜っと、大丈夫ですかぁ?」現れたのは、小学校高学年くらいの少年。赤いキャップを深く被り、半袖の白Tにデニムのハーフパンツ。腰にぶら下げてるのは・・・ひょうたん?ってかシュールな水筒ね。足元は・・・赤いスニーカー。リュックも持たず、なんて軽装・・・「道に迷っちゃいました〜?」「え・・・そう・・でもないけど・・・・・君は?」「僕...
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