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はじめての漢方

はじめての漢方

著者: 杜の都の漢方薬局 運龍堂 佐藤貴繁
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10月19日まで。※適用条件あり
漢方の専門薬局にて、漢方薬を処方している薬剤師が、漢方の魅力を伝えます。
実践的なお話も多いので、健康や美容などにぜひ、お役立てください。

杜の都の漢方薬局 運龍堂 佐藤貴繁
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エピソード
  • 209.心を支える生薬・前編 ― 忘憂草と酸棗仁、エゾウコギ
    2026/10/18

    「憂いを忘れる草」と書く生薬があることをご存知ですか・・・?
    秋は五臓でいう「悲・憂」の季節。落ち込みやすいこの時期に向けて、今回から2回に分けて、精神面を支える生薬をご紹介します。中華料理でおなじみのあの食材から、睡眠の漢方の定番、そしてロシアの宇宙飛行士が宇宙へ持っていったという生薬まで。それぞれの向き不向きも含めて詳しく解説していきます。

    ▼今回お話ししていること
    ・最も力が強いとされる動物性生薬「麝香」とシャネルの5番
    ・忘憂草(=金針菜)―「憂いを忘れる草」という名前の由来
    ・沖縄では「眠り草」― 深い睡眠が増えたというデータ
    ・酸棗仁 ― 不眠の漢方にほぼ必ず入っている生薬
    ・GABAの受容体を増やす、という現代の研究
    ・エゾウコギ ― ストレスに耐える力を底上げする

    まずは「忘憂草(ぼうゆうそう)」。日本では忘れ草、中華料理では「金針菜(きんしんさい)」の名で親しまれている、あの食材です。古い書物には、胸のつかえを除き、五臓を落ち着かせ、楽しいことを好むようになって憂いのない状態にする、と記されています。気分を無理やり持ち上げるのではなく、楽しめる状態にしてくれる――そんなイメージでしょうか。気分が晴れない、胸がつかえてため息が出る、体に熱がこもって寝つきが悪い、といったときに用いられてきました。動物実験では無気力な時間が減り、セロトニンやドーパミンが増えたという報告も。沖縄では同じような植物を「眠り草」と呼び、脳波を調べると深い睡眠が増えたというデータもあるそうです。

    ふたつめは「酸棗仁(さんそうにん)」。酸っぱいの酸に棗(なつめ)、そして仁と書く、不眠の漢方にはほぼ必ず入っている生薬です。疲れているのに頭が冴えてしまう、夜中に目が覚める、寝つきが悪い――そんな方に用いられます。研究では、リラックスに関わるGABAの受容体を増やし、寝つくまでの時間が短くなって睡眠時間も伸びることが分かってきているといいます。三つめが「エゾウコギ」。北海道やロシアなど寒い地域で採れる生薬で、長く飲むとストレスに強くなり、運動の持久力が上がるとされ、ロシアの宇宙飛行士が宇宙へ持っていったことでも知られています。高ぶりをしずめる酸棗仁に対し、エゾウコギは底上げして耐える力を高めるタイプ。方向性は違いますが、どちらもストレスや眠りの悩みに用いられてきました。

    ちなみに、複数を組み合わせて使うのはごく普通のこと。あの葛根湯ですら7種類の生薬でできています。次回は残りの生薬をご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。


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  • 208.秋の養生まとめ ― 悲しみの季節と、潤す生薬・黄耆のはたらき
    2026/10/11

    五臓には、それぞれ対応する感情があることをご存知ですか・・・?
    春は「怒」、梅雨どきは「思」、そして秋は「悲・憂」。気温が下がり活動も落ちてくるこの季節は、何もしなくてもネガティブに傾きやすい時期なのです。だからこそ、意識して楽観的でいたいところ。3回にわたった秋の養生も今回でまとめです。肺が弱っているサインの見分け方から、実際に使う生薬までを詳しく解説していきます。

    ▼今回お話ししていること
    ・五臓と感情 ― 秋が「悲しみ」の季節である理由
    ・肺の機能が落ちているサイン ― 皮膚・便秘・鼻・喉・乾いた咳
    ・肺と皮膚と腸が連動する、意外な共通点
    ・センソとスクアレン(鮫玉)― この時期に合う理由
    ・亀板と亀鹿 ― カメの甲羅・鹿の角・クコの実・朝鮮人参
    ・気を補う二大巨頭 ― 朝鮮人参と黄耆の役割分担

    まず、肺が弱っているサインから。皮膚のトラブル、便秘、鼻水や鼻づまり、喉の乾燥、乾いた咳――こうした症状が出ていたら、肺の機能が落ちていると見てケアを厚くします。面白いのは、肺と皮膚と腸が連動すること。場所はバラバラですが、いずれも「外から必要なものを体の中へ取り込む場所」であり、だからこそ免疫が集中しているのです。

    では何を使うのでしょう。循環器に関わるセンソは、心に負担のかかる夏と、肺に負担のかかる秋のどちらにも季節的に合うもの。潤す力でいえば、生薬名を鮫玉というスクアレンは肌や肺を潤す力が強く、血中の酸素量を上げる働きもあるとされ、まさにこの時期向きです。カメの甲羅である亀板は、血液や体液を増やして体全体を潤すため、肌でもドライアイでも場所を問わず使えます。この亀板に鹿の角、クコの実、朝鮮人参を加えた4種の組み合わせが「亀鹿」。温めて動かす鹿角と潤す亀板、目によいクコの実、オールマイティな朝鮮人参という構成で、乾燥の季節に限らず幅広く用いられてきました。そしてもうひとつ、朝鮮人参と並んで「気を補う二大巨頭」とされるのが、植物の根である「黄耆(おうぎ)」。朝鮮人参が内臓など体の深い部分を整えるのに対し、黄耆は皮膚や粘膜といった表面を支える役割で、感染症が広がった時期に注目された生薬でもあります。

    肺を大事に、乾燥に気をつけて。次回は、落ち込みやすいこの季節に向けて、精神面を支える生薬をご紹介する予定です。ぜひ続けてお聴きください。


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  • 207.秋は腸も乾く ― 便秘と水の摂り方、サウナ、肺を潤す食べもの
    2026/10/04

    秋になると便秘が悪化する方がいる、という話をご存知ですか・・・?
    乾燥するのは肌や目だけではありません。腸も乾くため、夏は軟便気味だった方が秋には逆に便秘へ傾く、ということが起こります。前回に続く秋の養生・実践編として、今回は「水の摂り方」「汗のかき方」、そして肺を潤す食べものまでを詳しく解説していきます。

    ▼今回お話ししていること
    ・秋に便秘が悪化するのはなぜか ― 季節で変わる漢方薬の量
    ・「水をたくさん飲めば潤う」が成り立たない理由
    ・日本は湿度の高い島国 ―「1日2リットル」をうのみにしない
    ・夏の熱中症対策の水分補給は、また別の話
    ・秋冬のサウナは要注意 ― 毛穴が閉じる季節の汗
    ・喉・鼻の粘膜と、肺を潤すいちじく・りんご・瓜

    まず水の話から。体を潤したいからと水をたくさん飲めばよい、とはいきません。余分な水を捨てて、きれいな水と入れ替える――その交換が進んで初めて、本当の潤いになると考えられているからです。巡りが整わないまま水だけを増やすと、かえって水が滞ってしまうこともあります。まして日本は海に囲まれた島国で、平均すれば湿度の高い土地。もともと余分な水が残りやすい環境ですから、「1日2リットル」といった目安をそのまま当てはめるのは考えものです。ただし、夏の熱中症対策は別の話。年齢を重ねると喉の渇きを感じるタイミングが遅れるため、こまめに摂るのは理にかなっています。多めに飲みたいときは、梅雨の回で登場した五苓散のように、水の巡りを助けるものを併せるとよいでしょう。

    汗のかき方も季節で変わります。夏までは発散の季節でしたが、実りの秋から冬へ向かうにつれて、無理をしない時期に入っていきます。毛穴が閉じていく時期に大量の汗をかくのは負担になるため、流行のサウナも、秋冬はご自身の体力と相談してほどほどに。そして乾燥は、肌や肺だけでなく喉や鼻の粘膜も傷つけやすくします。風邪にも気をつけたい季節です。食べものは、少し辛いものを意識しつつ、体を潤すものを。秋に採れるいちじくやりんご、かぼちゃやきゅうりといった瓜の仲間は、肺を潤すといわれています。

    2回で終わる予定が、3回目に続きます。次回は秋と心のお話など、さらに掘り下げていきます。ぜひ続けてお聴きください。


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