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はじめての漢方

はじめての漢方

著者: 杜の都の漢方薬局 運龍堂 佐藤貴繁
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10月19日まで。※適用条件あり
漢方の専門薬局にて、漢方薬を処方している薬剤師が、漢方の魅力を伝えます。
実践的なお話も多いので、健康や美容などにぜひ、お役立てください。

杜の都の漢方薬局 運龍堂 佐藤貴繁
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エピソード
  • 208.秋の養生まとめ ― 悲しみの季節と、潤す生薬・黄耆のはたらき
    2026/10/11

    五臓には、それぞれ対応する感情があることをご存知ですか・・・?
    春は「怒」、梅雨どきは「思」、そして秋は「悲・憂」。気温が下がり活動も落ちてくるこの季節は、何もしなくてもネガティブに傾きやすい時期なのです。だからこそ、意識して楽観的でいたいところ。3回にわたった秋の養生も今回でまとめです。肺が弱っているサインの見分け方から、実際に使う生薬までを詳しく解説していきます。

    ▼今回お話ししていること
    ・五臓と感情 ― 秋が「悲しみ」の季節である理由
    ・肺の機能が落ちているサイン ― 皮膚・便秘・鼻・喉・乾いた咳
    ・肺と皮膚と腸が連動する、意外な共通点
    ・センソとスクアレン(鮫玉)― この時期に合う理由
    ・亀板と亀鹿 ― カメの甲羅・鹿の角・クコの実・朝鮮人参
    ・気を補う二大巨頭 ― 朝鮮人参と黄耆の役割分担

    まず、肺が弱っているサインから。皮膚のトラブル、便秘、鼻水や鼻づまり、喉の乾燥、乾いた咳――こうした症状が出ていたら、肺の機能が落ちていると見てケアを厚くします。面白いのは、肺と皮膚と腸が連動すること。場所はバラバラですが、いずれも「外から必要なものを体の中へ取り込む場所」であり、だからこそ免疫が集中しているのです。

    では何を使うのでしょう。循環器に関わるセンソは、心に負担のかかる夏と、肺に負担のかかる秋のどちらにも季節的に合うもの。潤す力でいえば、生薬名を鮫玉というスクアレンは肌や肺を潤す力が強く、血中の酸素量を上げる働きもあるとされ、まさにこの時期向きです。カメの甲羅である亀板は、血液や体液を増やして体全体を潤すため、肌でもドライアイでも場所を問わず使えます。この亀板に鹿の角、クコの実、朝鮮人参を加えた4種の組み合わせが「亀鹿」。温めて動かす鹿角と潤す亀板、目によいクコの実、オールマイティな朝鮮人参という構成で、乾燥の季節に限らず幅広く用いられてきました。そしてもうひとつ、朝鮮人参と並んで「気を補う二大巨頭」とされるのが、植物の根である「黄耆(おうぎ)」。朝鮮人参が内臓など体の深い部分を整えるのに対し、黄耆は皮膚や粘膜といった表面を支える役割で、感染症が広がった時期に注目された生薬でもあります。

    肺を大事に、乾燥に気をつけて。次回は、落ち込みやすいこの季節に向けて、精神面を支える生薬をご紹介する予定です。ぜひ続けてお聴きください。


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  • 207.秋は腸も乾く ― 便秘と水の摂り方、サウナ、肺を潤す食べもの
    2026/10/04

    秋になると便秘が悪化する方がいる、という話をご存知ですか・・・?
    乾燥するのは肌や目だけではありません。腸も乾くため、夏は軟便気味だった方が秋には逆に便秘へ傾く、ということが起こります。前回に続く秋の養生・実践編として、今回は「水の摂り方」「汗のかき方」、そして肺を潤す食べものまでを詳しく解説していきます。

    ▼今回お話ししていること
    ・秋に便秘が悪化するのはなぜか ― 季節で変わる漢方薬の量
    ・「水をたくさん飲めば潤う」が成り立たない理由
    ・日本は湿度の高い島国 ―「1日2リットル」をうのみにしない
    ・夏の熱中症対策の水分補給は、また別の話
    ・秋冬のサウナは要注意 ― 毛穴が閉じる季節の汗
    ・喉・鼻の粘膜と、肺を潤すいちじく・りんご・瓜

    まず水の話から。体を潤したいからと水をたくさん飲めばよい、とはいきません。余分な水を捨てて、きれいな水と入れ替える――その交換が進んで初めて、本当の潤いになると考えられているからです。巡りが整わないまま水だけを増やすと、かえって水が滞ってしまうこともあります。まして日本は海に囲まれた島国で、平均すれば湿度の高い土地。もともと余分な水が残りやすい環境ですから、「1日2リットル」といった目安をそのまま当てはめるのは考えものです。ただし、夏の熱中症対策は別の話。年齢を重ねると喉の渇きを感じるタイミングが遅れるため、こまめに摂るのは理にかなっています。多めに飲みたいときは、梅雨の回で登場した五苓散のように、水の巡りを助けるものを併せるとよいでしょう。

    汗のかき方も季節で変わります。夏までは発散の季節でしたが、実りの秋から冬へ向かうにつれて、無理をしない時期に入っていきます。毛穴が閉じていく時期に大量の汗をかくのは負担になるため、流行のサウナも、秋冬はご自身の体力と相談してほどほどに。そして乾燥は、肌や肺だけでなく喉や鼻の粘膜も傷つけやすくします。風邪にも気をつけたい季節です。食べものは、少し辛いものを意識しつつ、体を潤すものを。秋に採れるいちじくやりんご、かぼちゃやきゅうりといった瓜の仲間は、肺を潤すといわれています。

    2回で終わる予定が、3回目に続きます。次回は秋と心のお話など、さらに掘り下げていきます。ぜひ続けてお聴きください。


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  • 206.秋の養生・基本編 ― 乾燥に弱る「肺」と、辛味のちから
    2026/09/27

    秋に負担がかかる五臓はどこか、覚えていらっしゃいますか・・・?
    答えは「肺」です。急に湿度が下がる季節は、呼吸・皮膚・そして肺そのものに、まとめて負担がかかります。面白いのは梅雨どきとちょうど逆になること――湿気の多い時期に弱っていた胃腸は、乾燥してくると調子を取り戻します。「食欲の秋」には、ちゃんと理屈があったのです。今回は今年の秋の養生を、基本から詳しく解説していきます。

    ▼今回お話ししていること
    ・秋に「肺」が弱りやすい、三つの理由
    ・呼吸と自律神経のつながり ― なぜ深呼吸がよいのか
    ・毛穴が閉じると、皮膚呼吸の効率が落ちる
    ・梅雨と秋はちょうど逆 ―「食欲の秋」の理屈
    ・秋の味は「辛味」― 玉ねぎ・長ねぎ・大根で十分
    ・皮膚の表面から蒸気を逃がす、という東洋医学の考え方

    肺が弱りやすい理由は三つあります。ひとつは呼吸。肺の大きな役割である呼吸は自律神経と深く結びついていて、リラックスしているときはゆっくり、興奮しているときは浅く速くなります。体と心は表裏一体ですから、意識してゆっくり呼吸すれば心も落ち着く――健康法に呼吸法があるのは、このためです。ふたつめは皮膚。「皮膚呼吸」というとおり皮膚も呼吸を助けていますが、急に湿度が落ちると毛穴が閉じ、慣れるまでその効率が落ちてしまいます。そして三つめが、肺そのものが乾燥に弱いこと。乾いた咳が出やすくなるのは、この時期ならではです。

    では何を摂ればよいのでしょう。五臓と味の対応でいうと、秋は「辛味」。辛いものは皮膚の表面へ体液を運ぶのを助けるとされ、乾いた肌にとっても心強い味です。ただし極端に辛いものは必要ありません。閉じている毛穴を一気にこじ開けることになり、かえって負担になるからです。玉ねぎ、長ねぎ、大根、にんにく――このくらいで十分。ちなみにお酒も辛味に分類されるそうですが、もちろん量はほどほどに。東洋医学では、余分な熱と水を皮膚の表面から蒸気として逃がすと考えます。湿度が高ければ逃がしづらくてむくみ、乾きすぎれば表面まで潤いが届かずカラカラになる。だからこそ、季節ごとに味を変えて肌を整えるのです。

    次回は、それぞれの時期に使いたい漢方薬と食べものを、具体的にご紹介します。ぜひ続けてお聴きください。


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