小諸義塾に就任した際、島崎藤村が千曲川の風景や人々を描写した随筆作品。

 主人公ナタニエルは、幼い頃母親から子供の目玉を奪っていくという砂男の話を聞かされ、その実在を信じるようになる…自動人形・二重人格など怪奇小説の古典「砂男」を2人語りラジオドラマ化。 

「愛」と「現実」にゆれる女。 堀辰雄の唯一のロマン（本格的長編物語）で、堀文学の到達点といわれる晩年の代表作です。主人公の女性、菜穂子の母が娘にあてて綴った遺書がわりの手記である「楡の家」と、その後日談である「菜穂子」の二篇からなり、1934（昭和9）年に「楡の家　第一部」が「物語の女」の表題で、1941（昭和16）年に「楡の家　第二部」が「目覚め」の表題で「文學界」に、「菜穂子」が「中央公論」に掲載された。「菜穂子」では結婚後、高原のサナトリウムに入院している菜穂子が幼なじみの都築明と再会し、自分の人生を考え直す。

Living in a squalid room in St. Petersburg, the indigent but proud Rodion Raskolnikov believes he is above society. Obsessed with the idea of breaking the law, Raskolnikov resolves to kill an old pawnbroker for her cash. Although the murder and robbery are bungled, Raskolnikov manages to escape without being seen. And with nothing to prove his guilt and a mendacious confessor in police custody, Raskolnikov seems to have committed the perfect crime. But in Dostoyevsky’s world of moral transgressions, with its reason and its consequences, Raskolnikov’s plan has a devastating hitch.

「彼等の義務の中に、半分の好意を溶き込んで、それを病人の眼から透かして見たら、彼等の所作がどれほど尊くなるか分らない。病人は彼等のもたらす一点の好意によって、急に生きて来るからである。余は当時そう解釈して独りで嬉しかった。そう解釈された医師や看護婦も嬉しかろうと思う。本当に嬉しかった、本当にありがたかった、尊かったと、生涯に何度思えるか、勘定すれば幾何もない。たとい純潔でなくても、自分に活力を添えた当時のこの感情を、余はそのまま長く余の心臓の真中に保存したいと願っている」「ことに病気になって仰向けに寝てからは、絶えず美しい雲と空が胸に描かれた」など、漱石のしみじみした心境を描いており、大患を境に「則天去私」の境地に達したといわれている。各所に、漱石作の漢詩や俳句が載っており、その意味でも貴重な作品。全編33節のすべてを収録。本オーディオブックは改訂新版で、ゆっくりと落ち着いたトーンで制作してあります。