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懐中時計
- ナレーター: 岩本 紗依
- 再生時間: 1 分
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外科病院を開業しているポーランド生まれのドイツ医学博士。1916年の1月の末。医学博士が28歳の時、ベルリンの市役所に傭医院を勤めていた。
著者: 夢野 久作
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巡査辞職
- 著者: 夢野 久作
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「草川の旦那さん。大変です。起きて下さい。モシモシ。起きて下さい。私は深良一知(ふからいっち)です」
暑い暑い七月の末の或る早朝であった。山奥の谷郷村駐在所の国道に面したホコリだらけの硝子戸をケタタマシク揺ぶりながら、一人の青年が叫んだ。
それは見るからにここいらの貧乏百姓の児と感じの違った、インテリじみた色の白い鼻筋のスッキリとした美しい青年であった。慌てて走って来たものと見えて、手拭浴衣の寝巻に帯も締めない素跣足が、灰色の土埃にまみれている。……と……駐在所の入口になっている硝子戸が内側からガタガタと開いて、色の黒い、人相の悪い顔に、無精鬚をぼうぼうと生した、越中ふんどし一つの逞ましい小男が半身を現わした。
「どうしたんか」
「アッ。草川の旦那さん」
草川巡査はねむそうな眼をコスリコスリ青年の顔を見直した。
「何だ。一知じゃないかお前は……」
「はい。あの……あの……両親が殺されておりますので……」
「何……殺されている? お前の両親が……」
「はい。今朝、眼が醒めましたら、台所の入口と私の枕元に在る奥の間の中仕切が開け放しになっておりましたから、ビックリして奥の間の様子を見に行ってみますと、お父さんと、お母さんが殺されております。蚊帳(かや)が釣ってありますので、よくわかりませんが
著者: 夢野 久作
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鉄鎚
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――ホントウの悪魔というものはこの世界に居るものか居ないものか――
――居るとすればその悪魔は、どのような姿をしてドンナ処に潜み隠れているものなのか――
――その悪魔はソモソモ如何なる因縁によって胎生しつつ、どのような栄養物を摂(と)って生長して行くものなのか――
――その害悪と冷笑とを逞ましくし行く手段は如何――
かような質問に対して躊躇せずに答え得る人間は、そう余計には居るまいと思う。然るに私はまだヤット二十歳になったばかしの青二才である。だから聖人でも哲学者でもない筈であるが、しかしこの問いに対しては明白に答え得る確信を持っている。
――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ――
――だから本当の悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ――
――そのような悪魔の現実社会に於ける生活とか、仕事とかいうものが如何に戦慄すべきものがあるかという事なぞも、滅多に考えられた事がないのだ――
...
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R市に在る某石油会社の支配人で有名な愛妻家である×国人のJ・P・ロスコー。最愛の夫人は、今年二十四になるマリイ・ロスコー。
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・《Ravenous Rats》主宰
・《乱痴気STARTER》所属
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企画/制作 アイデアフラッド合同会社
編集 古川典裕
デザイン toki
イケメン耳元名文学シリーズ-谷崎潤一郎「少年」/田山花袋「少女病」/梶井基次郎「桜の樹の下には」/太宰治「満願」
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