224介護と仕事の両立。仕事を辞める前に知ってほしい制度と組み立て方
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「これ以上は、仕事を続けながら親の介護をするのは無理かもしれません」。ケアマネジャーのもとには、こうした相談が日常的に届きます。平日の日中は仕事で家を空けざるを得ない。通院の付き添いのたびに有給休暇を使い果たしていく。上司にどう切り出せばいいのか分からない。積み重なった疲れの果てに、「辞めるしかない」という結論に、ご本人が一人でたどり着いてしまっているケースが少なくありません。相談の多くは、すでに何か月も一人で抱え込んだあとにようやく言葉になったものです。
しかし、介護のために仕事を辞めるという選択は、想像以上に重い代償を伴います。厚生労働省の雇用動向調査によれば、家族の介護・看護を理由に離職する人は毎年一定数にのぼり、そのうち多くが再就職後に収入が減少したという調査結果が示されています。年齢が上がるほど再就職の条件は厳しくなりやすく、いったん離職すると、以前と同じ雇用形態・同じ収入水準に戻ることは簡単ではありません。加えて、介護離職は収入の問題にとどまりません。介護をする方が仕事という「社会とのつながり」や「気持ちの切り替えの場」を失うことで、かえって介護に向き合う体力と気力が続かなくなるケースが、現場では繰り返し観察されています。
なぜ、これほど「辞める」という選択に至りやすいのでしょうか。背景には、「介護は家族が担うもの」という思い込みと、「使える制度をそもそも知らない」という情報不足の両方があります。多くのご家族は、介護休業や介護休暇という言葉自体は聞いたことがあっても、「具体的に何日休めるのか」「どんな場面で使うものなのか」を正確に把握していません。制度を知らないまま、「これ以上は職場に迷惑をかけられない」と自己判断で退職を選んでしまう方も少なくないのです。介護休業・介護休暇といった法律上の制度、日中の負担を減らす介護サービス、そして通院の負担そのものを軽くする医療側の選択肢――これらを組み合わせれば、「辞める」以外の道が見えてくることは、現場で数多く経験されています。
本資料では、働きながら親や配偶者を介護するご家族に向けて、①「介護のために仕事を辞める」前に知っておきたい制度、②「自分がやる」から「回る仕組みを作る」への発想の転換、③平日日中に動けない家族のための具体的な工夫、という3つの観点から整理します。あわせて、実際に両立を続けているご家族の典型的な事例も紹介します。