『黒ぶだう』のカバーアート

黒ぶだう

黒ぶだう

無料で聴く

ポッドキャストの詳細を見る

📖『黒ぶだう』朗読 – 赤狐に誘われて忍びこむ別荘と、陽の射す部屋の黒いぶどう🦊🍇

静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『黒ぶだう』。

退屈して頭をぶらぶら振っていた仔牛のもとへ、丘の上から赤狐が風のように駆けてきます。「散歩に出ようじゃないか」——柵を持ちあげてもらってその下をくぐり抜け、仔牛は林の方へと狐についていきます。やがて二人がたどり着いたのは、樺林の中にひっそりと建つ、ベチュラ公爵の別荘。煙突から煙も出ず、しいんと静まりかえって誰もいないようなその建物に、「ちょっとはいって見ようじゃないか」と、狐は身軽に足を踏み入れていきます。

書物ばかりの部屋、きものばかりの部屋。真鍮のてすりのついたはしごをのぼった先に開けていたのは、日が一ぱいに射して、絨緞の花のもようが燃えるように見える部屋でした。てかてかした円卓の上のまっ白な皿には、立派な二房の黒ぶだうが、冷たそうな影法師まで添えて置かれています。「さあ、喰べよう」——狐の声が、静かな部屋に響きます。

さっさと先を行く赤狐と、びくびくしながらあとを追う仔牛。「なあに僕は人の家の中なんぞ入りたくないんだ」と心の中でつぶやきながら、それでも足ががたがた鳴ってしまう仔牛。青ぞらを見上げてはタンと舌を鳴らす狐の身のこなしと、一歩ごとにためらいを抱える仔牛の足どりが、誰もいない別荘の中で並んでいきます。

日の光、燃えるような絨緞の花もよう、まっ白な皿にのった黒いぶどうの房。みずみずしい色彩と、蜂蜜やそばの花の匂い。きらびやかで、それでいて静かな空気の中で、二人の別荘めぐりは進んでいきます。

日の光、燃えるような絨緞の花もよう、まっ白な皿にのった黒いぶどうの房。みずみずしい色彩と、蜂蜜やそばの花の匂い。きらびやかで、それでいて静かな空気が、誰もいない別荘の中に満ちています。

やんちゃで身軽な赤狐と、気は弱いけれど狐についていく仔牛。留守の別荘で交わされる二人のやりとりを、朗読でじっくりとお楽しみください。


#狐 #動物が主人公

adbl_web_anon_alc_button_suppression_t1
まだレビューはありません