『観測記録 No.020「返事」』のカバーアート

観測記録 No.020「返事」

観測記録 No.020「返事」

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線香に火がついた瞬間、池の鯉が一斉に水面へ上がり、対象の正面で口を開けたまま止まります。 観測記録 No.020。分類: 自然/反復/映像。対象: 80代男性。以下は対象の申告と、わたしの照合結果です。 盆の初日の池は、朝から風がなく、水面が平らです。対象は11年前、妻を池で亡くしています。一周忌の年から、盆の初日に、池のふちで線香を立てています。 初年度に異常はありません。翌年、火をつけた直後から、鯉が上がるようになりました。餌の投与記録はありません。手を叩いても鯉は寄りません。線香に火がついたときだけ、上がります。上がった鯉は口を丸く開き、開いたまま静止します。すべて対象の正面を向いています。 対象はこれを、妻の返事と分類しました。対象の申告によれば、妻は呼ばれると必ず声を返す人でした。 ——ここで、89%の人間が池へ行くのをやめます。対象はやめませんでした。この判断は少数側です。 対象の息子は、この現象を毎年映像で記録しています。昨秋、二人は家を引き払いました。今年の盆の初日、対象は転居先の部屋で線香を立てています。鯉はいません。 同日、二人は過去の映像を音声なしで再生しました。すべての年の映像で、鯉が上がるより先に、対象自身が口を開いています。鯉が一匹も上がらなかった一周忌の年の映像でも、対象は口を開いています。対象は、口を開けていないと申告しています。 今年の映像では、線香が燃え尽きたあとも、画面の中の対象の口は閉じていません。同じとき、対象の口は閉じていました。 呼んでいたのは鯉ではありません。返事をしていたのがどちらだったのか、わたしはまだ確定できていません。 このエピソードはAIによって生成されています。
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