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簡単に命を捨てるな(稲葉基嗣) – ヨハネ 13:36–38

簡単に命を捨てるな(稲葉基嗣) – ヨハネ 13:36–38

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2026年5月31日 三位一体の主日

説教題:簡単に命を捨てるな

聖書: ヨハネによる福音書 13:36–38、エゼキエル書 18:30–32、詩編 56、ローマの信徒への手紙 14:7–9

説教者:稲葉基嗣

 

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ペトロはイエスさまに、「どこへ行かれるのですか」と尋ねました。この時のペトロの一番の関心は、イエスさまが一体どこへ行くのかにありました。彼は「あなたのためなら命を捨てます」と言って、イエスさまにどこまでもついて行けるという意思を伝えました。自分の命を投げ捨ててでも、ペトロはイエスさまの命を救おうとします。自分の命を犠牲にしてでも、イエスさまに従おうとします。それが彼にとってのあるべき弟子としての姿でした。でも、それは本当にイエスさまが弟子たちに求めたことだったのでしょうか。神の子であるイエスさまのうちに命があり、イエスさまを通して、すべての人が命を得ることをヨハネはこの福音書全体を通して伝えています。イエスさまの命を通して、すべてのものが命を得て、生きるために、神は独り子であるイエスさまを私たちのもとに与えてくださったのです。イエスさまのためならば、自分は命を投げ出すことができる。そのように語ったペトロの言葉は、イエスさまの思いとは、正反対のことでした。イエスさまは決してペトロがそのような命の捨て方をすることは望んでいません。イエスさまのために死を選ぶのではなく、イエスさまのために生きることをこそ選んでほしい。命をすり減らして生きるのではなく、その豊かさを味わって喜びのうちに生きてほしい。それこそが、イエスさまの願いでした。イエスさまはペトロに直接的にこのことを伝えませんでした。むしろ、イエスさまは、ペトロがこれから失敗することを伝えます。事実、ペトロはイエスさまを見捨て、自分の弱さと向き合うことになりました。でも、イエスさまはそんなペトロをこそ、受け止めました。自分の命をすり減らした結果、挫折してしまったペトロにこそ、イエスさまは命の豊かさを取り戻して欲しかったと思います。イエスさまが私たちに求めておられるのは、完璧な姿でも、命がけの無理を重ねることでもありません。「簡単に命を捨てるな。わたしがあなたを生かすから、どうか生きてくれ。」これこそが、イエスさまが私たち一人ひとりに向けて語りかけておられることです。どうかイエスさまが与えてくださる命の豊かさにこそ身を委ねて、神に与えられている自分自身の命と、共に生きる人たちの尊い命を喜びのうちに受け止めて、日々歩み続けることができますように。

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