『第15話(最終話)― 静かに生きる人が、最後に残る ―』のカバーアート

第15話(最終話)― 静かに生きる人が、最後に残る ―

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概要

第15話(最終話)― 静かに生きる人が、最後に残る ― おお、おまえさん。 ここまで、いろんな話をしてきましたな。 正しさの話。 黙る話。 急がない話。 手放す話。 どれも派手じゃない。 声高でもない。 けれど江戸の世では、 こうした生き方こそが、 最後に残ると考えられておりました。 ――ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 日暮れ前の縁側で、 姉さんが、ふと旦那に聞いた。 姉さん 「旦那、 結局、どんな人が 一番うまく生きるんでしょうね」 旦那は、 少し遠くを見てから、 ゆっくりと口を開いた。 旦那 「静かな人だな」 「静か、ですか?」 旦那 「声が小さいって意味じゃねぇ。 余計なものを、抱えなくなった人だ」 江戸の町には、 目立たないが、 なぜか皆が頼る人間がいた。 前に出ない。 自慢しない。 正しさを振り回さない。 だが、 困った時には、 必ず名前が挙がる。 「どうして、 そういう人が残るんでしょう」 「争わねぇからだ」 勝とうとしない。 比べない。 奪わない。 だから、 消耗しない。 「静かに生きるってのはな、 逃げじゃねぇ。 選び続けた結果だ」 若い頃は、 声を出す。 背負う。 証明する。 それも大事だ。 だが、 年を重ねると、 別の力が要る。 選ばない力。 手放す力。 黙る力。 「静かになるって、 強いんですね」 「強ぇとも。 一番、無理がねぇ」 最後に残るのは、 声の大きい人じゃない。 勝ち続けた人でもない。 静かに、自分の足で立っていた人だ。 騒がしい世の中ほど、 静かな人の価値は上がる。 この江戸小噺も、 そんな人のために、 そっと置いておきましょう。 ―― さて。 長いお付き合い、 ありがとうございました。 次回の新シリーズをお楽しみに。 では、 おあとがよろしいようで。
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