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第12話― 昔話をする人ほど、未来を見ている ―

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概要

第12話― 昔話をする人ほど、未来を見ている ― おお、おまえさん。 昔の話を始めると、 「また昔話か」と言われること、 ございませんか。 今は今だ。 過去は関係ない。 前を向け。 そんな言葉が、 正しそうに飛び交う世の中です。 ですが江戸の世では、 昔話は、 懐かしむためのものじゃない そう考えられておりました。 ―ところで。 江戸に、こんな小噺がございまして。 若い衆が、 縁側で、旦那に少し不満げに言った。 若い衆 「旦那、 年寄りって、 すぐ昔の話をしますよね。 今の役に立つのかな、って思うんです」 旦那は、 笑いもせず、 叱りもせず、 ゆっくりと口を開いた。 旦那 「役に立つかどうか、 それを決めるのは、 聞く側だ」 若い衆 「でも、 時代が違いますし」 旦那 「違うようで、 違わねぇ」 江戸の年寄りは、 自分の失敗を、 そのまま語った。 格好はつけない。 美談にも仕立てない。 旦那 「昔話ってのはな、 『こうすりゃ成功する』 じゃねぇ。 『こうやったら痛い目を見る』 その話だ」 成功談は、 人を酔わせる。 失敗談は、 人を守る。 若い衆 「じゃあ、 未来の話なんですね」 旦那 「そうだ。 同じ穴に落ちねぇための話だ」 昔話をする人は、 後ろを見ているんじゃない。 前に起きることを、 知っている。 風向き。 人の癖。 世の繰り返し。 それを知っているから、 語る。 若い衆 「聞き流しちゃ、 もったいないですね」 旦那 「もったいねぇとも。 未来を、 ただで覗かせてもらってるんだからな」 今の世の中、 新しい言葉ばかりがもてはやされる。 だが、 本当に新しいことは、 だいたい昔に一度、起きている。 昔話を笑う人は、 同じところでつまずく。 昔話に耳を傾ける人は、 一歩、先に行く。 ―― さて。 今日はこの辺で。 次回は、 「一人で平気な人ほど、孤独じゃない」 そんな小噺を一席。 では、 おあとがよろしいようで。 #AI#小噺#心理学
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