『空間に込められたメッセージ』のカバーアート

空間に込められたメッセージ

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空間に込められたメッセージ 埼玉県在住  関根 健一 私は、障害者施設を中心とした建築設計やデザインの仕事をしています。障害者施設というのは、利用者の人数や提供するサービスに応じて、国から報酬が支給される仕組みになっています。そのため、安全性はもちろんですが、面積や設備など、さまざまな基準を満たす必要があります。 たとえば、作業スペースには「利用者一人あたりこれだけの広さが必要」と決められていたり、相談室には個人情報の観点から、音漏れを防ぐ構造が求められていたりと、細かい条件がたくさんあります。 そうした中で私は、運営者の思いを丁寧にくみ取りながら、利用者が安心してイキイキと過ごせる環境と制度上の要件、その両方を満たすために、自治体と何度も確認や調整を重ねています。 最近では「農福連携」といって、農業と福祉を組み合わせた取り組みが広がってきました。障害のある方が、農作業だけでなく、食品加工や販売、接客まで担うケースも増えています。その流れの中で、カフェを併設し一般客も訪れるような、開かれた作業所も増えてきました。 地域との接点が出来ることで、新たな交流が生まれたり、閉鎖的な環境による問題が減ったりする良い面がある一方で、外部の人の出入りが増えることで、新たな配慮も必要になります。さらに「お店として選ばれる」ための工夫も求められるので、結果として、制度上の条件以上のことが必要になる場面も少なくありません。 そんな中、打ち合わせの際に私がよくお伝えしているのが、「建物にはメッセージを込めることが出来る」ということです。 たとえば、ショッピングモールに授乳室があれば、子育て世代の方は安心すると思います。反対にもし無ければ、「ここは子連れ歓迎じゃないのかな」と感じるかもしれません。 また、飲食店に喫煙室があれば、喫煙者の方は入りやすくなりますが、タバコの煙が苦手な方にとっては、敬遠する理由にもなります。つまり、設備や空間のあり方そのものが、その場所からの〝メッセージ〟として伝わっているのです。 以前、障害のある方が働くカフェの設計に関わった時のことです。その時私は、設置義務はなかったのですが、多目的トイレに「ユニバーサルベッド」を入れてはどうか、と提案しました。これは大人でも横になれる介助用のベッドで、排泄の介助が必要な方にとっては、とても大切な設備です。 実は私自身、障害のある長女と外出する中で、ユニバーサルベッドがある場所に出会って、「ああ、ここでは歓迎されているんだな」と感じた経験があり、その思いをそのままお伝えしたのです。 もちろん、面積やコストの制約がある中で、簡単に採用できるものではありません。ただ、この提案をきっかけに、「この建物は、誰に、どんなメッセージを届けるのか」という視点を持って頂くことが出来ました。そして結果的に、別の形での配慮や工夫へとつながっていきました。 建物というのは単なる器ではなく、そこに関わる人の価値観や姿勢が、自然ににじみ出るものだと思っています。だからこそ私は、条件を満たすだけで終わらずに、どんなメッセージを発する空間にするのか、ということを大切にしています。 話は変わり、今年の一月、教祖140年祭でおぢばに帰らせて頂いた時のことです。本部神殿の西礼拝場と祖霊殿を結ぶ回廊に、スロープ昇降口があるのですが、そこから家族で上がらせて頂きました。 このスロープは、車椅子の方がエレベーターを待たずに神殿に上がれるようにと、教祖130年祭に合わせて整備されたものですが、これまでスロープ昇降口が開放される月次祭前後のタイミングで長女を連れて帰参する機会がなかったので、今回が初めての利用でした。 実際に上がってみた時、設備を通して「ようこそおかえり」と迎えて頂いているような、そんな感覚が込み上げてきました。 長女には、脳性麻痺の障害があります。小さい頃は抱えて参拝することも出来ましたが、成長するにつれてそれも難しくなりました。また、長女は身体に合わせたクッション付きの車椅子でないと...
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