種山ヶ原
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📖『種山ヶ原』朗読 – 霧に沈む高原と、少年が迷い込んだ夏の終わりの一日🌫️🌾
静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『種山ヶ原』。
種山ヶ原は、北上山地のまん中にある高原。東と西からの風や湿気がぶつかり合い、雲や雨や霧がいつもすぐそこに控えています。夏休みもあと一日となったその日、達二は、上の野原で草を刈るおじいさんと兄のもとへ弁当を届け、牛を連れて草を食ませに行くことになりました。楊の枝で鞭を拵え、ダー、ダー、ダースコ、ダー、ダーと、夏に町で踊った剣舞の囃子を口ずさみながら、達二は原への路をのぼっていきます。
ところが、原の入口で兄と落ち合ったのもつかのま、牛が不意に北の方へ駆け出します。達二は夢中で追いかけますが、せいの高い草を分けるうちに足はこわばり、深い草の中に倒れ込んでしまいます。気がつけば空は重く垂れこめ、冷たい霧が切れ切れに眼の前を通り過ぎていきます。牛の通った痕はかき消え、いくら呼んでも兄の返事は聞こえません。霧に閉ざされた高原で、達二はとうとう、どちらが帰り道かもわからなくなってしまいます。
霧は刻々と濃さを変え、晴れたかと思えばまたあたりを閉ざします。黒板から降る白墨の粉のような霧の粒、いくつもの細い手を振るすすきの穂、馬の蹄の痕でできた頼りない黒い道。そんな霧をくぐって、剣舞の太鼓の響きや、ふと耳によみがえる誰かの言葉、霧の向こうに浮かぶ大きな影が、かわるがわる達二を訪れます。
青黒い蛇紋岩や橄欖岩からできた種山ヶ原では、足もとを飲み込んでしまいそうな深い霧と、草の雫をきらめかせる陽の光とが、めまぐるしく入れかわります。光ったり陰ったりを繰り返すその懐で、達二はひとり、霧の中を歩いていきます。
達二の迷い込んだ一日を通して立ち現れるこの幻想的な物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。
#少年 #夢 #方言 #山男