『大丈夫=マイペンライ』のカバーアート

大丈夫=マイペンライ

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大丈夫=マイペンライ タイ在住  野口 信也 タイ人のようぼくで、日本語で「大丈夫」という意味のタイ語「マイペンライ」が口癖のTさんという方がおられます。 この方は、若い頃友人に誘われ、日本へ行くことになりました。しかし、いざ出発となった時、その友人は、「もしかすると騙されているかも知れないので、自分は日本へ行くのをやめる」と言い出したそうです。しかし、Tさんは「まあ、だいじょうぶ、何とかなる」と持ち前の性分を発揮し、誘われるがまま日本へやって来ました。 そこは岡山にある天理教の教会で、Tさんはその後、修養科を修了し、その教会でお世話になりながら日本語学校へ通いました。彼は勉強が得意ではなく、教会でのひのきしんも気の向くままという程度でしたが、その教会の会長さんや前会長さんは、そんな彼の気ままな生活を責めることなく、温かく見守り、大切にしてくれたとのこと。その時の恩返しをしたいと、Tさんはタイで天理教を広めることを心に誓いました。 Tさんは26年前にタイへ帰国後、自宅に立派な神床を構えて神様をお祀りし、日を決めて月次祭をつとめ始めました。友人や知人、近所の方、散歩中に知り合った方、子供のクラブの関係者、会社の方など誰にでも声を掛けるので、月次祭には初参拝の方が多く来られます。 また、祭典に間に合わなかった人にも、「大丈夫、今おつとめ終わったから、飲みに来てね」と電話をかけ、奥さんのおいしい手料理を食べながら、みんなで楽しくビールを飲みます。とにかくいつも明るく、誰にでも気さくに優しく声をかけ、人を責めることをしない彼の元には、どんどん人が集まります。 教祖誕生祭がつとめられる4月中旬、タイではタイ正月の長期休暇があります。Tさんはこの時期を利用して団参を組み、おぢばがえりを続けています。最初は少人数でしたが、現在は毎年30名で帰参。これは教会で受け入れることの出来るギリギリの人数で、来年、再来年とも予約でいっぱいだそうです。 帰参する人の中には、「天理教はどんな教えですか?」と尋ねる人もいますが、Tさんは親神様、教祖について少しだけお話をして、「まあ、大丈夫、行ったらわかりますから」といった調子です。教えに興味がある人も、ない人も、「大丈夫」と気軽にどんどん誘います。そして、誰もがおぢばと教会での温かい受け入れに心を打たれ、「また帰りたい」と口にします。 ある年、私が別席のお誓いの通訳をしていた時のことです。そこに、どこかで見覚えのあるタイの方が来ました。よく見ると、なんとタイの税務署の方々でした。タイの公務員の中には少し高飛車な方もいて、私も留学の時の手続きで苦労させられたので、受付の方々の顔を覚えていました。 私は自分の目を疑うほどびっくりして、Tさんにどういう経緯で彼らがおぢばがえりをすることになったのか聞いてみました。 毎年、帰参前の3月末頃から、Tさんが勤める日系の会社でも税申告の手続きが必要なのですが、それがなかなかスムーズに進まないので、Tさんはいつも「早くしてくれないと、日本に行けなくなります」と訴えるのだそうです。すると税務署の方に、「どうして毎年日本に行く必要があるんだ」と聞かれたので、「日本には天理という素晴らしい所があって、そこへ行くことを毎年みんな心待ちにしているんです」と。 すると職員さんが、「そんな所あるはずがない。騙されているんだろう」と言うので、Tさんはいつもの調子で「一度行ってみればわかりますよ」とお誘いし、税務署の窓口の職員さんをまとめてお連れしたとのこと。Tさんの器の大きさに驚かされました。 そんな彼の信仰信念を垣間見た出来事があります。Tさんと一緒に帰参する予定だったある母親と小学生の息子さん。息子さんはもともと腎臓病で少し顔が黒ずんでいました。 出発を前に体調を崩し、お医者さんから「日本行きは中止するように」と言われ、母親は仕方なくTさんに帰参出来ないことを伝えました。するとTさんは、「大丈夫、病気だからこそおぢばへ行くのですよ」と一歩も引きません。果たして、...
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