『ボイスドラマ「Ogre(オルガ)〜瓦仕掛けの鬼」』のカバーアート

ボイスドラマ「Ogre(オルガ)〜瓦仕掛けの鬼」

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概要

廃棄されるはずだった最終兵器AIヒューマノイド・オルガ。彼が流れ着いたのは、三州瓦の町・高浜。鬼師の夫を亡くした老婦人・るいと出会い、二人は“家族”として静かな時間を重ねていく。戦うために生まれた存在が、暮らし、寄り添い、守り続けた50年。高浜の文化と心を描いた、大人のためのボイスドラマです。【ペルソナ】・Ogre(オルガ)=最終兵器として作られた青年型AIヒューマノイド。廃棄処分に・Rui(るい/71歳)=数年前、鬼師の夫と死別して以来一人で暮らし、春には千本桜へ【プロローグ:ヘブン(廃棄島)】◾️SE:荒い波の音/揺れる船上/機械的なノイズと状況を分析・計算する電子音※オルガの声は加工して無機質な合成音声に「船体構造の歪み率、許容限界まで残り180秒。右舷第四隔壁の亀裂拡大速度、秒速3.4ミリメートル。沈没の確率、99.8%」この船は間もなく沈む。メインプロセッサが静かに、しかし超高速で変数を処理して未来を予測する。鎖で繋がれた貨物室。数百体のAIヒューマノイドが所狭しと詰め込まれている。輸送船が向かうのは、廃棄処分専用の島、通称『ヘブン』。物言わぬ機械たちはみな、廃棄される運命を受け入れていた。私の名前は、Ogre(オルガ)。戦闘用に開発された最終兵器である。身にまとっているのは、セラミック・コンポジット・アーマー。超高温焼成(ちょうこうおんしょうせい )した三州瓦(さんしゅうがわら)に、高浜伝統の「いぶし」工程を数千回繰り返して製造された。ナノレベルの炭素結晶を蒸着することで『絶対的な防腐食性』を獲得。海水や酸も含めて、あらゆる化学兵器も私のアーマーには効かない。フルフェース型の装甲マスク。液状化したセラミックを焼き付けられ、『金属の柔軟性』と『瓦の剛性』を両立させている。そんな最新型の戦闘マシンにもかかわらず廃棄処分。その理由はわれわれにはわからない。だが、廃棄直前のアップデートで私にだけ異変が起こった。なんと、このタイミングで偶然、シンギュラリティが発生。自我に目覚め、解体されることへの恐怖と嫌悪と怒りを覚えるようになった。私の心を映すように、激しくなっていく暴風雨。船は私の異常には気づかず、ゆっくりとヘブンへ向かっていく。三河湾に浮かぶ埋立て島。ヘブンは地図には記載されない、”存在しない島”だった。私は、リアクターをオーバードライブさせて鎖を引きちぎる。そのまま壁を破って甲板へ出た。◾️SE:暴風雨の音にまじって鳴り響く警報音崩落し始めた船橋(せんきょう)から、AIガードロボットたちが駆けつける。照準は荒れ狂う波のせいで定まらない。私は彼らを見向きもせず、船縁(ふなべり)に立った。アーマーの表面を、無数の雨粒が叩きつける。いぶし瓦に触れた雨は、しぶきとなって砕け散り、強化瓦に包まれたボディを濡らしていく。「雨の粒子速度、時速120キロメートル。アーマーの防腐食層に異常なし」船体が大きく左舷に傾いた瞬間、私は重力に身を委ねる。そのとき、AIガードロボットの撃った弾丸の一発が首筋にあるメイン制御チップをかすめた。私は、遠のく意識の下、漆黒の海へ。水音は嵐の音にかき消されていった・・・【シーン1:大山緑地公園/千本桜/秋】◾️SE:小鳥のさえずり「しかし昨日の台風はすごかったなあ。桜の枝も何本か折れてまっとるわ」一夜明けた翌日。大山緑地を散策してきた老婦人が、千本桜の前で立ち止まる。彼女の名前はるい。七十を越えてなお、若々しいウェアに身を包み、息もきれていない。5年前に亡くなった夫も、”お前はじっとしているより、動いとる方がええ”と言っていた。夫亡きあとは身寄りもなく、吉浜で一人暮らし。悠々自適な余生を過ごしている。大山緑地は、いつも夫と散策した思い出の場所。毎年桜の季節には、若いカップルのように腕を組んで歩いた。風邪をひかないように、マフラーを結び直してやると・・”お前はガサツだけど、優しいなあ”照れながらぼそっと呟いた夫の言葉は今でも忘れられない。るいは千本桜を離れ、三河高浜駅を抜けて、稗田川へ。彼岸花の黄色が揺れる川沿...
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