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ボイスドラマ「覚醒」

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80年前の朝日村。戦争孤児の少女と、正体を隠して生きる少女。二人の出会いが、現代へ続く「覚醒」の物語を動かし始めます。飛騨に伝わる八百比丘尼伝説を描いた和風ホラーボイスドラマです・・・【プロローグ:出会い】◾️SE:村はずれの辻の環境音/〜駆けつける足音八夜の泣き声「お願いです、通してください。私はただこの村に用があって」「おまえら!なにしとるんや!」「なんじゃあ?伽耶!邪魔するなて」「大人がよってたかって、女子(おなご)をいじめるとはなにごとや!」「女子 って、お前も同じくらいの歳やろうに」そうだ。わしと同じくらい。十六か十七くらいの女の子が、目の前で泣いている。「それにいじめとるんやないぞ。このガキが、村に入ろうとするからじゃ」「ええやないか。入れてやれば」「あほか。ただでさえ、食糧難やっちゅうのに、これ以上よそもんに食い扶持減らされてたまるか」「おまえらだって、名古屋とか大阪から疎開してきた、よそもんだろ」「うるせえ。つべこべ言うと、お前も村から叩き出すぞ、伽耶!」怖い顔して私を睨みつける疎開者たち。1946年。益田郡(ましたぐん)朝日村。終戦からまもなく1年が経とうという頃。朝日には名古屋や大阪から、疎開者がぞくぞくとつめかけた。なかでも多かったのは引揚兵や復員兵たち。小さな村はよそものでごった返していた。ただでさえ平地が少なく、米の収穫量が限られている朝日村。急激な人口流入は激しい食糧難をもたらした。配給や耕作地をめぐる諍いも毎日絶えない。疎開者たちは森を切り拓いて自分たちのために畑と住処(すみか)を作った。林業に関わっていく者も多い。彼らはいつも数人で村の辻に立ち、入ってくる者を見張っていた。「ええか。ガキ。十(とお)数えるうちに出ていかんと、痛い目を見るぞ!いち!」「待て!この子はわしが面倒みる。連れてくぞ」「おいおい。ガキがガキの面倒みるってか」「うるさい。そんなこと言っとってええのか。今度腹痛(はらいた)になっても薬草を煎じてやらんぞ」「う・・なんだと・・」わしは、少女の手をとり、うちへ向かって歩いていく。疎開者の男は恨めしそうな顔でわしを睨んでいた。【シーン1:ともだち】◾️SE:朝日川のせせらぎ/小さな足音「ありがとう」消え入りそうな声で少女が呟く。「助けてくれて」「ええんやよ。わしだって、もともとよそもんやし」「どういうこと?」「戦時中はわしも疎開者やったんだて」「え・・」「実家は名古屋や。戦況が悪化した去年の正月。とうさまとかあさまは、わしをひとりでここ、朝日村へ行かせたんや。「そうなの・・」「そのすぐあとで名古屋の大空襲や。B29が、とうさまとかあさまと家を焼き尽くした」「そんな!」「新聞もなんも教えてくれんからな。わしが知ったのは、5月になってから。名古屋城が焼け落ちた、ってみんな騒いどった頃や。ちょうどそのころ、疎開先のここへとうさまとかあさまのお骨が届いた」「やだ・・」「お骨ったって、骨なのかどうかもようわからん。砂みたいな焦げカスだけや。その中に手紙がねじこまれとったわ」「手紙・・?」「親戚のおじさんからでな。みんな、家も焼けてしもうたで、帰ってくるな。お骨はそっちで弔ってくれ、って」「ひどい・・」「ああ。でも戦争なんて、そんなもんやろ。そういうわけでわしは戦災孤児になった」「そう・・」「今からいくんは、わしのうちや。炭焼き小屋だけどな。杣衆(そましゅう)の面倒みてやるかわりに、住まわせてもろうとるんじゃ」「面倒・・?」「うん。わしには薬草の知識があるからな」「薬草?」「ああ。よもぎとかクロモジとか。朝日には掃いて捨てるほどあるじゃろ。わしが疎開する前、かあさまが薬草のこといろいろ教えてくれてな。これは食べれる。これは食べたらあかん。ゲンノショウコってやつは腹の具合がわるいときに煎じて飲む。ドクダミは便秘に効く。ヨモギは風呂に入れて疲れをとれ。怪我したら、クロモジの葉を粉末にして止血しろ・・・」「すごい・・」「なんか感じるものがあったんじゃろなあ。かあさまは...
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