『インドラの網』のカバーアート

インドラの網

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📖『インドラの網』朗読 – ひとり渉る冷たい高原と、空いちめんに張られた光の網❄️🌌

静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『インドラの網』。

風と草穂の底に倒れていた「私」は、ただひとり、暗いこけももの敷物を踏んでツェラ高原を歩いていきます。白いそらが磁器よりも冷たく張りつめ、稀薄な空気がきんきんと鳴る高原には、一羽の鳥も、やさしい獣のけはいさえありません。「私は全体何をたずねてこんな気圏の上の方をあるいているのか」——自分にそう問いかけながら、「私」は薄明から黄昏へと移りゆく荒涼とした道を、ただ進んでいきます。

やがて行く手に、まっ白な湖が見えてきます。水ではないかもしれない、欺かれて力を落としてはいけない——そう自分に言い聞かせながらも、足は急いでしまう。石英の砂と、音なく湛える水のほとりに立つころ、あたりはすっかり夜になり、研かれた鋼鉄のような天の野原に銀河の水が流れ、数えきれない宝石がちりばめられています。人の世界の高原と、天の空間。そのあわいを行きつ戻りつするうちに、「私」はやがて、霜を織ったような羅をまとい、太陽の昇るのを待つ三人の子供らと出会うのです。

ひとり高原を渉る道のり、すぐ隣りに開ける天の空間。冷たく張りつめた白い荒野と、宝石をちりばめた銀河の野原。孤独な問いかけと、思いがけない出会い。薄明、黄昏、灼けるような光——さまざまな情景が、この物語のなかに現れます。

石英、金剛石、青宝玉、黄水晶。硬く透きとおる鉱物の名が連なる手ざわりのなかに、由旬や寂静印、瓔珞といった言葉が静かに置かれ、「インドラの網」という言葉が浮かびあがります。于闐大寺の壁画から抜け出たような子供らの姿、針や束になってそそぐ光。詩的な言葉と幻想的な情景が織りなす、冷たく澄んで瞑想的な世界。

宮沢賢治が描く、鉱物と光に満ちた不思議な風景。青木晃と名のる「私」の旅路を通して立ち現れるこの幻想的な物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。


#心象スケッチ

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