めくらぶどうと虹
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📖『めくらぶどうと虹』朗読 – 銀のすすきがゆれる秋の丘と、空にかかる一すじの虹🌾🌈
静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『めくらぶどうと虹』。
城あとの草はらに、秋が深まっています。赤つめ草の花は枯れ、畑の粟は刈られ、崖には銀のすすきの穂が、いちめんに風に波立っています。その草はらのまん中の小さな丘の上、やぶには、めくらぶどうの実が虹のように熟れていました。
かすかな日照り雨が降ってはまた霽れ、東の灰色の山脈の上をつめたい風がふっと通ると、大きな虹が、明るい夢の橋のようにやさしく空にあらわれます。その姿を見上げて、丘の上の小さなめくらぶどうの木の青じろい樹液は、はげしく波うちました。今日こそ、ただ一言でもあの虹とことばをかわしたい——しわがれた声を風に半分とられながら、めくらぶどうは空に呼びかけます。やさしい虹は、西のそらをながめていた大きな碧い瞳を、丘の小さな木へ向けました。こうして、めくらぶどうと虹のあいだに、ことばが交わされはじめます。
銀色に光る秋の野原、虹のように熟れたぶどうの実、空にかかる一すじの虹。きらきらと光る草、音譜をばらまいたように飛びかうもず、刻々と色を変えていくそら。光と色に満ちた秋の野で、丘の上の小さな木が、はるかな空の虹を見上げています。
ひたむきに虹をうやまい、自分のいのちなど惜しくないと言うめくらぶどうに、虹はしずかにこたえます。虹の口から語られることばには、「かぎりないいのち」「まことのひかり」、そして野の百合といった、仏教やキリスト教を思わせるひびきがあります。詩のようなことばと幻想的な情景が織りなす、静かで瞑想的な世界。
宮沢賢治が描く、銀のすすきと虹に満ちた秋の風景。丘の上の小さな木を通して立ち現れるこの幻想的な物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。
#鼠 #植物