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ナレーター:
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西村 健志
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著者:
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江戸川 乱歩
私は、勤めていたある工場の老守衛である栗原一造から、妙な経験談を聞かされた。
仕事を失って浅草のベンチで途方に暮れていた栗原は、三十前後の若者に突然声を掛けられた。
「どっかで御眼にかかりましたね」
田中三良と名乗った彼のことを栗原は知らなかったが、その笑顔に不思議な親しみを感じるのだった。
栗原はまあ暇つぶしとばかりに色々と互いのことを話し合うが、一向に話がかみ合わない。それでも彼が知らない相手とは思えず、正体を思い出せないままで連絡先を交換して栗原は帰宅した。
その後も若者と度々会うようになる栗原だったが、ある日、彼から「もしかして北川すみ子という女をご存じじゃないでしょうか」と切り出された。
田中は驚いた。その名は今も忘れられない片思いの相手だったのだ……
<江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ)>
日本の推理小説家。1894年10月21日生まれ、三重県生まれ。筆名は、19世紀の米国の小説家エドガー・アラン・ポーに由来する。数々の職業遍歴を経て作家デビューを果たす。本格的な推理小説と並行して『怪人二十面相』、『少年探偵団』などの少年向けの推理小説なども多数手がける。代表作は『人間椅子』、『黒蜥蜴』、『陰獣』など。1954年には乱歩の寄付を基金として、後進の推理小説作家育成のための「江戸川乱歩賞」が創設された。(c)2018 Pan Rolling
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