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一足お先に
- ナレーター: 西村 健志
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あらすじ・解説
<内容紹介>
右の膝小僧が不意にキリキリと痛み出して青年・新東は跳ね起きた。何かしらの鋭い刃物で突き刺されたような痛み。
半分夢心地のまま、その辺りを触ってみると右足が見つからない。そう、新東は肉腫によって右足を切断していた。
切断してから気味の悪い足に関する夢をよく見ていた。
新東が入院しているのは東京・築地の大きな外科病院。同室には八百屋を営んでいる青木という大男がいる。青木に夢の話をすると、まるで新東の夢を透視したように足の夢であることを当てた。
どうやら足の夢や幻影を見ることはよくあることらしい。足の夢を見ることは、順調に治っているとのこと。しかし、新東はなんとなく憂鬱になっていた。 そんな中、同じ病院に歌原商事会社の社長である歌原男爵の未亡人が救急で運ばれてきた。乳がんに罹患し痛みに耐えられないため手術を行ったようだ。
そんな話を聞いてると副院長と新米看護婦が病室に入ってきた。夢の話をすると手術後に神経衰弱気味になったり、夢中遊行を起こしたりすることがあるようだ。
しかし、夢中遊行を起こすのは遺伝性を持っている人に限られる。新東は立派な教養があり心配はないとのこと。体力が回復すれば今の神経衰弱も治ると聞き安心して布団に潜り込んだ。
「歌原未亡人は、貴方が殺したのでしょう」
新東は思わず息を詰めた。
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
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――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ――
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