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『日本怪談全集 五』のカバーアート

日本怪談全集 五

著者: 田中 貢太郎
ナレーター: パンローリング
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あらすじ・解説

内容紹介

怪異恐怖記録の集大成 第五弾 26話収録



「棄轎」

ある日の夕方、一人の農夫が畑から帰っていた。煙管を咥えながら、のろのろと牛のように歩いていると、路傍の松の木の下に異様な物を見つけた。それは、眼にも眩しい金と銀の金具をちりばめた轎(かご)であった。

しかし、轎かきもいなければ伴の者もいない。まるで投げ棄ててでもあるように置いてあるのが不思議でならなかった。轎の中はひっそりとしていて、誰も乗っていそうにないし、見ている者もないので、轎の傍へ寄って往って垂れをあげた。垂れをあげて農夫は驚いた。轎の中にはお姫さまのような綺麗な女がいたのだが……



「女賊記」

館林の城下では女賊(じょぞく)の噂で持ち切っていた。それはどこからともなしに城下へ来た妖婦であった。色深い美しい顔をした女で、捕えようとすると傍にある壁のはめ板へぴったり引っついてそのまま姿を消すのであった。土地の人は誰云うとなしにそれを板女(いたおんな)と云っていた。奇怪な板女の噂は噂を生んで、城下の町では夜もおちおち眠らなかった。

そのうちに某町の豪家で婚礼があって、親戚知己をはじめ附近の人びとがめでたい席へ招かれて御馳走になった。しかし夜がもう亥時に近い頃、けたたましい女の悲鳴が聞えて来た。「板女が来た、板女が来た、誰か来て……」



収録内容

悪少年記



黒風

蟇の怪

水魔

椎の葉

棄轎

神を喫う

月下の宴

奇人狂人

虎妖奇談

亡者会

観音像

蛇田の話

白いシャツの群

畸人列伝

雑木林の中

六人の漁師

京城の街を歩きて

侏儒

烏の怪

祠の格子扉

女賊記

猿の群

勝海舟と行者

娘の生霊



田中貢太郎(たなか こうたろう)

高知県出身。「中央公論」の「説苑(ぜいえん)」欄に実録,情話,怪異譚を書き、井伏鱒二・尾崎士郎らと随筆誌『博浪抄』を創刊。著作は伝記物、紀行文、随想集、情話物、怪談・奇談など多岐に渡る。代表作『旋風時代』では明治維新の顕官の情痴の生活を奔放に描いて独自の境地を開いた。1940年菊池寛賞受賞。『怪談青灯集』など怪談物も書き,『聊斎志異』の翻訳もある。
(c)2017 Pan Rolling

日本怪談全集 五に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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