物語シリーズの存在は知っていたけど読む機会がなく実際に読んだのはつい最近のこと。
基本的にミステリしか読まない自分だけど物語シリーズはとても楽しめた。
その中でも特に面白いと感じたのは「化物語」と「恋物語」の二つ。
どちらにも共通して言える事は、「真実や本当の謎・テーマを、台詞で使用する単語や文章表現にこだわって巧妙に隠している」事。
例えば化物語には「普通に読むと気付きにくい事」が台詞や単語の言い回しで巧妙に隠されていたり。
化物語を読み終えた時に「あれ?」と感じた事がある人はもう一度表現や言い回しに気を付けながら読んでみると新たな発見があるかも?
今回の「恋物語 ひたぎエンド」も話の内容的には良い意味でも悪い意味でも予想を裏切られたが、全体的にはとても楽しめた。
冒頭で貝木に語らせる事で何が本当か何が嘘か分からなくしている点もなかなか興味を惹かれた。
詳細については語らないけれど、これだけははっきりと言いたい。
【これは貝木の片恋の物語で、貝木のひたぎへの想いがエンドになる物語】だと。
友人と話していた時に大半が「貝木とひたぎイチャイチャしすぎ」「貝木とひたぎ両想いだよな、これ」等と言っていたけど、どう考えてもそうとは読めないと思う。
恋物語で使われている単語や文章表現、言い回しや「何故ひたぎはそう答えたのか」を見ていけば、恋物語ではひたぎから貝木への今の恋愛感情はない。
途中から気を許し始めているし、初恋の相手だったからかつての関係や想いを思い出している部分は散見されるけれど。
ただし貝木、お前は別だ。
物語シリーズ一番のツンデレっぷりをお前が出してどうする(笑)
そもそも今回の恋物語は貝木の主観に基づいてるので、気に入っているひたぎの一挙手一投足や素直じゃない言い回しが必要以上に好意的に見えるのはそもそも当たり前な訳で。
ひたぎに関する描写も、フェイクとまでは言わないまでもひたぎの本心とは違う描写がされている可能性が高いと思う。
以上の事から、内容はちょっと意外だったけど、叙述トリックなどのミステリ好き的な視点から★5。
読めば読むほど新たな気付きが出てくる作品だと思う。
また恋物語の一節である「ひたぎサラマンダー」は今の二人の関係の回答になっている。
こちらも短編ながらなかなか奥深い作品なのでおすすめ。