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名君忠之
- ナレーター: 斉藤 範子
- 再生時間: 1 時間 5 分
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『いらっしゃいまし。お珍らしい雨で御座いますナアどうも……こうもダシヌケに降り出されちゃ敵かないません。 いつも御贔屓ひいきになりまして……ま……おかけ下さいまし。一服お付けなすって……ハハア。傘をお持ちにならなかった。ヘヘ、どうぞ御ゆっくり……そのうち明るくなりましょう。』 とある東京の古本屋。夏もあらかた過ぎ、季節はずれの激しい夕立の中、ずぶ濡れになったお客がひとり。古本屋の主人は古本屋稼業の日常などの四方山話を語り始めた。 話はひょんなことから、医専の生徒が持ち込んだ一六二六年に英国で出版された筆写本。曰くつきの"聖書"の話に。世界中にたった一冊しかないと噂に聞いたデュッコ・シュレーカーのBOOK OF DEVIL PRAYER(外道祈祷書)『悪魔の聖書』だった。豪雨の中の鄙びた古本屋。店の中にはずぶ濡れの大学教授と、怪しげな店主の二人きり。物語は思わぬ方向に進み・・・。
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古き良き時代の・・
- 投稿者: Orlaya 日付: 2022/05/05
著者: 夢野 久作
あらすじ・解説
<内容紹介>
“名君”筑前藩主・黒田忠之は憤慨していた。
数本の桜の大樹が咲き誇る奥庭の広緑に筑前藩主・黒田忠之が腰掛けていた。同じ縁側の遥か下手に平伏している大目付役・尾藤内記の頭を睨みつけながら。裃姿の尾藤内記は、素長い顔を真っ青にしたまま、黒田忠之の目の色を仰ぎ見た。
「ハハッ。御意ぎょいには御座りまするが……御言葉を返すは、恐れ多うは御座りまするが、何卒なにとぞ、格別の御憐憫をもちましてお眼こぼしの程……薩藩への聞こえも如何いかがかと存じますれば……」
尾藤内記の発言に黒田忠之が癇癖を起こした。庭先に立ち並んでいた側女たちがハット顔を見合わせた。怒りのため両の拳を握りしめ、自分で開き得ないため、側女たちが指を揉み柔らげる。それ程に、黒田忠之は癇癖を起こしていたのだった。
それもそのはず、家臣・塙代与九郎が他藩である薩州から恩賞を貰っていたのだ。これは幕府にあるまじき行為。黒田忠之は塙代与九郎を肥後、薩摩の境い目まで引っ立てて討ち放し、晒し首にしろと憤慨した。話を聞いた尾藤内記は塙代与九郎を追放することを約束する。しかし、黒田忠之の命令に尾藤内記はすっかり弱り切ってしまう。この騒動が幕府に与えた影響とは?
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。